〈28日中山・GI
ホープフルS〉
カザフスタン出身のバウルジャン・ムルザバエフ騎手(30)とコンビを組んだ14番人気
ドゥラエレーデが、2番手追走からゴール前の叩き合いをハナ差で制した。ムルザバエフ騎手は短期免許で来日して1カ月でのGⅠ初勝利。また、
池添学調教師(42)=栗東=は、開業8年目でうれしいGⅠ初勝利となった。2着に7番人気
トップナイフ、3着6番人気
キングズレインが入り、3連単は246万6010円の大波乱。1番人気
ミッキーカプチーノは5着に敗れた。
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中央アジアのカザフスタンに生まれ、ドイツで腕を磨いてリーディングも獲得した叩き上げが、日本で大波乱を巻き起こした。今年のJRA・GⅠ最終決戦を制したのはムルザバエフ騎乗の14番人気
ドゥラエレーデ。2番手追走から直線、逃げ粘る
トップナイフとの首の上げ下げの大接戦をものにして、2歳中距離王に輝いた。
「ゴールした瞬間は分からなかったけど、厩舎の人が〝勝っている〟と言っていて。まだ信じられない。あと2時間くらい時間をください」
満面の笑みを浮かべた大殊勲の30歳は、今回が初来日。それも初騎乗の
ジャパンC(テュネス9着)ウイークから1カ月、JRA33戦目という驚速でのタイトル奪取だ。「向こう正面で少し引っ掛かったけど、それ以降はすごくリズム良く走ってくれて、直線の坂を上っても力強さは残っていた。検量室でルメールさんから『僕はGⅠ勝つまで3年かかった。君は(短期免許取得から)2週間だね』と言われました」と快挙を喜びつつ、「まだ競馬新聞が読めないので人気がないのも知らなかったけど、調教に乗ったときにいい馬だと思いました。競馬を使うごとに強くなっているイメージだし、距離が延びても可能性があります」と将来性に太鼓判を押した。
「ゴールに入ったときは2着だと思った。よく頑張ったと思っていたらスロー(VTR)を見て〝エッ〟と。夢のようなフワフワした気持ちです」
延べ34頭目の挑戦で開業GⅠ初制覇となった
池添学調教師は待望のタイトルに夢見心地。「正直、人気薄ですし信じられない」と奮闘に驚きを示しながらも「新馬戦で1番人気になっているように潜在能力はすごくあって、かみ合えばGⅠを勝ってもおかしくないとは思っていた。今後のことは全く考えていないけど、まだまだ成長もすると思います」と来春への手応えも伝えた。
父で2冠馬
ドゥラメンテの〝ドゥラ〟と、イタリア語で「最高の後継者」の〝エレーデ〟と命名された新星。父同様の勝負強さで来春のクラシックを沸かせても、もう驚けない。(内海裕介)
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ドゥラエレーデ 父
ドゥラメンテ、母マルケッサ、母の父
オルフェーヴル。黒鹿毛の牡2歳。栗東・
池添学厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(株)スリーエイチレーシング。戦績5戦2勝。獲得賞金8497万4000円。重賞は初勝利。
ホープフルSは
池添学調教師、バウルジャン・ムルザバエフ騎手ともに初勝利。馬名は「父名より+最高の後継者(伊)」。
■入場&売り上げ
ホープフルSの売り上げは164億4150万5500円で前年比110.0%とアップ。入場者数は1万5669人(うち有料入場1万4862人)で同297.7%だった。
★アラカルト
◎払戻金 単勝⑪9060円、複勝⑪1410円、枠連❹❻2万9300円、馬連⑧⑪6万4580円、ワイド⑧⑪1万3070円、馬単⑪⑧17万5230円、3連複⑧⑪⑮23万2970円、3連単⑪⑧⑮246万6010円は、いずれもGⅠ昇格(2017年)後、本レースの式別最高払戻金額。
◎関西馬対関東馬 今年のJRA・平地GⅠ24レースは、関西馬13勝、関東馬11勝となった。