ファンが競馬場に戻って最初の重賞となるサウジアラビアロイヤルCが10日、東京競馬場で10頭によって争われ、横山典騎乗で3番人気の
ステラヴェローチェが大外からメンバー最速の末脚を繰り出してV。デビュー2戦2勝で重賞タイトルを獲得した。1番人気
インフィナイトは3馬身差の2着だった。
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土砂降りの悪路をものともせず、
ステラヴェローチェが馬場の中央を別次元の末脚で突き抜けた。7月の新馬戦に続く連勝で重賞をゲット。3馬身差Vという圧倒的な強さに、泥だらけの勝負服をまとう横山典騎手も満面の笑みを浮かべた。
「まだ競馬は2回目だし、東京も初めてで物見をしていたので、スタートは悪くなかったけど、せかさないでいった。跳びがきれいな馬なので、馬場(不良)がプラスに働いたとは思わない。能力が違ったのでしょう」
返し馬や馬っぷりの良さ、新馬戦の内容などから、鞍上は初コンビながらも自信を持っていた。後方でゆっくり進め、直線で馬場のいい中央へ持ち出すと他馬が止まって見えるほどの加速力を発揮。この日は約7カ月半ぶりにファンが入場したとあって、52歳の名手は「お客さんの前で競馬ができてうれしかったし、僕としては勝てて最高です」と喜んだ。
札幌2歳Sの
ソダシに続き、この世代2頭目の重賞勝ちとなった須貝調教師は、3カ月の休養を挟んで14キロ増の502キロまでパワーアップした愛馬に目を細める。「成長分。新馬戦は前に行ったけど、こういう上手な競馬ができたことも収穫」とうなずき、「典ちゃんが最高にうまく乗ってくれた」と鞍上の手腕もたたえた。
ダノンプレミアム、
グランアレグリア、
サリオスと過去3年の優勝馬は全てGI馬まで上り詰めた。それらに負けない衝撃を与えた
ステラヴェローチェの将来も大いに楽しみだ。 (板津雄志)
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ステラヴェローチェ 父バゴ、母オーマイベイビー、母の父
ディープインパクト。黒鹿毛の牡2歳。栗東・
須貝尚介厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は大野剛嗣氏。戦績2戦2勝。獲得賞金4037万1000円。重賞は初勝利。サウジアラビアロイヤルCは
須貝尚介調教師が初勝利。
横山典弘騎手は2015年ブレイブスマッシュに次いで2勝目。馬名は「星+速い(イタリア語)」。