第58回
日経新春杯(16日、京都11R、GII、4歳上オープン国際、ハンデ、芝・外2400メートル、1着本賞金5800万円=出走13頭)良血馬の素質が完全に開花した。今年最初の中央競馬のGIIを制したのは、2番人気の
ルーラーシップ(栗東・
角居勝彦厩舎、牡4歳)。
皐月賞2着
ヒルノダムール、
ジャパンC優勝馬
ローズキングダムらの実績上位馬を寄せ付けない圧勝劇だった。タイム2分24秒6(良)。次走は未定だが、3月26日にドバイで行われるGI競走も視野に。この日の強さならば、世界にその名を知らしめる可能性は十分にある。
午後3時45分の京都競馬場の気温は2・7度。だが、新たなスターホースの誕生に、寒風が吹く淀の競馬ファンが熱く沸いた。97年の天皇賞・秋などを勝った女傑
エアグルーヴを母に持つ
ルーラーシップが、本格化を告げる圧巻のパフォーマンス。同世代の
ジャパンC優勝馬
ローズキングダムらを一蹴し、昨年のGIII
鳴尾記念に次ぐ2つ目の重賞を手に入れた。
「スムーズな競馬で、思っていた通りに乗れた。
ローズキングダムに勝てて嬉しいし、GIでも通用するだけの力があるね。僕自身も日本の重賞を勝てて嬉しいよ」
1月8日から短期騎手免許で来日しているウンベルト・リスポリ騎手(22)=イタリア=は、自身の日本での重賞初制覇を喜ぶとともに、初コンビを組んだパートナーを絶賛した。
〔6〕枠(8)番のスタートから、のびのびと走れるように、4~5番手の外めを追走。
ローズキングダム、
ヒルノダムールよりも前の位置をキープし、3コーナー過ぎから徐々に前との差を詰め、直線に向いた時は、すでに先頭だ。そこからは迫力満点の大きなフットワークで後続をグングンと突き放して、接戦の2着争いに2馬身差。前走の
有馬記念こそ6着に敗れたが、飛躍を誓う今年の初戦を圧勝で飾った。
「スローになると思ったし、フットワークの大きい馬だからね。ある程度、前の位置で競馬をした。スムーズなレースができたよ」。イタリアの名手はそう笑顔で振り返った。
ローズキングダムと同じ馬主(サンデーレーシング)で、一度は23日に中山競馬場で行われる
AJCCに予定を切り替えた。だが、追い切りの動きで状態のよさを確認し、一転して出走へ。結果的にはそれが正解だった。
ハンデは56・5キロで「(58キロのローズとは)ハンデ差もあったけど、上手に走ってくれましたね。2400メートルを勝ってくれて、幅も広がりました」と
角居勝彦調教師も満足の笑みを浮かべる。
今後はいったん、滋賀県・ノーザンファームしがらきに放牧に出されるが、3月26日のドバイ諸競走(
ワールドカップ、シーマクラシック、デューティーフリー)に登録済み。世界を視野に入れる超良血馬が、同厩舎で
有馬記念を制した
ヴィクトワールピサとともに、今年の競馬界をリードしていく。(鈴木康之)