スガダイ
岡村信将
第51回京成杯(16日、中山11R、GIII、3歳オープン国際、別定、芝・内2000メートル、1着本賞金3900万円=出走16頭)田中勝春騎乗の2番人気フェイトフルウォーが直線で内めから力強く抜け出し、2分0秒9(良)で重賞初制覇を飾った。昨年のこのレースを勝ったエイシンフラッシュはダービー馬となっただけに、今後に期待が膨らむ勝利となった。管理する伊藤伸一調教師(51)=美浦=は開業14年目で待望の重賞初勝利。ハナ差2着は8番人気デボネア。1番人気スマートロビンは出遅れて流れに乗れず、12着と大敗した。 気性の難しさが課題だったが、ようやくまじめに走って重賞タイトルを手に入れた。先行したフェイトフルウォーが直線で馬群を縫うように馬場の内めから抜け出し、何とか外デボネアの追撃をハナ差しのいだ。 「直線で一瞬、行くところがなかったけど、抜けだしたところがゴールだったよ。ゴールの瞬間はなんとなく出ているような感じはあったけど、勝っていてくれと願っていました」 10分間に及ぶ長い写真判定の末、ホワイトボードの1着欄に“(2)”が書き込まれると、田中勝春騎手はホッとしたような表情を浮かべた。好スタートを決めて気合をつけて3番手追走。少しかかり気味だったが、馬に行く気がなく後方になった前走のホープフルS(3着)と異なり、先行できたことが結果的には大きな勝因となった。 そのままインで我慢して、直線では前がふさがるシーンもあったが、進路を見つけると一気に抜け出す。「少しかかり気味だったけど、うまく我慢してくれた。イメージ通りの競馬」とカツハルも納得の内容だった。 「(重賞タイトルを)獲りたくてもなかなか獲れなかった。巡り合わせってありますよね」。管理する伊藤伸一調教師は、開業14年目での嬉しい重賞初制覇。「使うたびに馬がズルくなって、きょうもゲート入りがあまり良くなかった。でも、かかったけど前の位置で競馬ができたのは収穫でした」と、愛馬の着実な進歩に目を細める。 「賞金を加算できたのはよかった。今後はゆっくり考えたい」とトレーナーはクラシックへ慎重にローテーションを組む構えだ。「抜けだしてフワッとした点は課題だが、一戦一戦成長しているよ」とカツハルも今後を楽しみにする。関東から誕生したクラシック候補のフェイトフルウォー。さらなる気性面の成長があれば、京成杯以上のパフォーマンスを期待していい。(高尾幸司)