友人と待ち合わせし、目的地に約束の時間よりも早く着いてしまったとしよう。その友人に、自分が長く待っていたことを悟られた場合、皆さんは何と言うだろうか?
「いやぁ……早く着きすぎちゃって……(笑)」
なんて、よく使う表現ではなかろうか。かくいう私も使わないではないが、冷静に考えてみるとこの言葉、日本語としては間違っているのが分かるだろうか?
恐らく正しい日本語の使い方としては「着いたのが早すぎた」というのが、この場合の正解。先の「早く着きすぎた」だと、“過ぎた”は“着く”にくっついているので、“着き過ぎた”は“(必要以上に)目的地に何回も着いた”ということになり、「早い時間に、何度も自分はここに着いてしまった」という意味になってくる(笑)。
他にもおかしな日本語は沢山ある。たとえば塾業界では、自分の教室から退塾希望の生徒が出た場合に、これを「申し出」という文化があるが、コレ、明らかにおかしい。「申し出る」は謙譲語なので、申し出る生徒・保護者からみて「尊敬すべき他の誰か」が存在することを意味していて、その誰かとは一体誰なんだ……? と考えると、実際にはどこにも存在しないのだ(笑)。正しく言うならば「仰り(おっしゃり)」だろうが、これもまた“誰が”、“何を”おっしゃるのか意味不明だし、会議の場で「今月○件のおっしゃりが…」なんて言ったら、「うっちゃりが○件」みたいに聞こえ、相撲の解説でも始めたと思われそうなので、会議で試してみたことはない(笑)。
さて、語順が入れ替わると意味がわからなくなるのは“コトバ”の宿命だが、“入れ替わる”と言えば競馬だ。今週日曜、中山競馬場のメイン競走、
皐月賞の予想に寄せ、今日は「入れ替わり」金言を紹介するとしよう。
曰く「クラシックはトライアル着順を入れ替えよ」。
先の
桜花賞で、暮れの阪神JFの1、2着が入れ替わった(阪神JFはトライアルではないが……)のは記憶に新しいところ。ものごと何でも“強弱”は大事で、それは競馬でも一緒だ。トライアルはあくまでトライアルで、ここで負けても本番で勝てば、勝ち馬はG1ホースとして後世に名を残し、逆にトライアルを快勝しても、本番で負けてしまえば、その馬は無冠、ただのトライアルホース。勝負の世界は人も馬もシビアだ。
シンエンペラーは4戦2勝2着2回。逃げては粘れず、差しては届かずの内容は実に歯がゆく、正直本番の
皐月賞で快勝するイメージはなかなか沸かないのも事実だが、逆に大敗するイメージもわかない。今回も2、3着に甘んじるかも知れぬし、もしかしたら金言を体現して見事優勝してくれるかも知れない。行方を見届けたい。
何をやってもある程度器用にこなせるが、何事もズバ抜けて出来る訳ではない私……。
シンエンペラーのようにちょっぴり残念な馬に、妙な親近感を覚えるのもまた事実で、今回は久々に感情的に応援してみたい(笑)。
ガンバレ!
シンエンペラー。