第38回
エリザベス女王杯(10日、京都11R、GI、3歳上牝馬オープン国際(指)、定量、芝・外2200メートル、1着本賞金9000万円=出走18頭)
武幸四郎騎乗の2番人気
メイショウマンボが、中団から直線で力強く伸びて、今年の
オークス、
秋華賞に次ぐGI3勝目を挙げた。タイム2分16秒6(重)。牝馬のJRA・GI年間3勝以上は、グレード制導入後の1984年以降、7頭目。世代間統一を成し遂げて、名牝の仲間入りだ。1番人気
ヴィルシーナは伸びを欠き、10着に沈んだ。
灰色の空から落ちる冷たい雨も、緩んだターフから跳ね上がる泥も、並みいる強豪古馬勢も、まとめて切り裂いた。今年の2冠牝馬
メイショウマンボが、堂々たる走りで統一女王の座に就いた。エスコートした武幸騎手は、笑顔で愛馬をねぎらう。
「本当に強いですね。ローテーションもきつくて、前回より厳しい条件でしたけど、本当にタフで大した馬ですよ」
昼過ぎから強くなった雨の影響で、重発表まで馬場が悪化。道中は先行集団から少し離れた中団で脚をタメた。3コーナー手前で内に入ってきた1番人気の
ヴィルシーナを横目に、馬群の外に持ち出して手応えよく最後の直線へ。残り300メートルでGO
サインを出すと、メンバー最速タイの末脚(34秒1)を繰り出し、馬場の真ん中を力強く突き抜けた。
「雨でいつもより少し前めの競馬になると思っていた。
ヴィルシーナが内に入ってきて、うまく閉じ込められたので、大丈夫だなと思った。全部うまくいきました。たまには僕のレース(運び)もほめてください」と笑って自画自賛した鞍上の好プレーも光った。
オークス、
秋華賞の2冠に加え、今回は古馬も退けた。ピークに仕上げた
秋華賞から中3週のローテを乗り越えての勝利だけに、その強さは際立つ。主戦が「疲れがないことはないはずなのに、それを見せない。回復するのがすごいですね」と驚異の回復力をたたえると、飯田明調教師は「一番強かったなと思います。僕のマンボ。誰にもやりたくないね」と顔をくしゃくしゃにした。
「今回は古馬牝馬の壁を乗り越えた。マンボはまだ3歳なので、これからもっと力をつけてくれると思う。男馬相手でもいい競馬ができるようにがんばっていきたい」
コーシローは力強く今後の抱負を語った。牝馬の年間GI3勝以上はグレード制導入の1984年以降、7頭目。先輩には
メジロラモーヌや
ダイワスカーレットなど、女傑の名前が並ぶ。今後は未定だが、曇天の下で誕生した新女王の未来は明るい。名牝への道を、堂々と歩んでいく。(川端亮平)
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■アラカルト
◆年間賞金王
メイショウマンボの今年の総獲得賞金は3億9106万7000円となり、2位
ロードカナロアに約3千万円の差をつけて1位。