第60回
有馬記念(27日、中山10R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝・内2500メートル、1着本賞金2億5000万円=出走16頭)
吉田隼人騎乗の8番人気、
ゴールドアクターが好位から直線で抜け出してGI初制覇。タイム2分33秒0(良)。4連勝での戴冠となった。今後は天皇賞・春(5月1日、京都、GI、芝3200メートル)を目標にする。クビ差の2着は
サウンズオブアース。1番人気でラストランの
ゴールドシップは見せ場を作ったが8着に敗れた。
12万7000人の熱い視線が注がれるゴール前で、ジョッキーは大歓声に負けぬ大声で愛馬を励ました。外から追いすがるライバルをクビ差で抑えたのは苦労人ジョッキーの執念か。第60回のメモリアル有馬記念というひのき舞台は、
ゴールドアクターと吉田隼騎手のコンビ愛にあふれていた。
「歓声は聞こえていましたが、僕もガムシャラに大声を出して追いました。ゴールした瞬間は気持ちよかった。勝ったんだなって」
8歳違いの兄・豊の後を追って騎手になって12年目。初めてつかんだGIのタイトルにジョッキーは左手を突き上げて観衆に応えた。「GIジョッキーになりたくてこの業界に入った。くじけずにやってきてよかった」と、夢にまで見たGI勝利をかみしめるように喜んだ。
好スタートを決めるとダッシュを効かせて先行態勢。最初のコーナーで外から
キタサンブラックがくると、今度は逆に抑えて前に壁を作った。
「自分だからこそスタートして出して行けた。他の騎手だったら、あの馬のテンションを考えて控えたかも。でも僕は抑える自信がありました」
昨夏の500万下からずっとコンビを組み、アクターを知り尽くしているからこその騎乗ぶり。道中は好位の3番手から
ゴールドシップが外から仕掛けても焦らず。直線で満を持して追い出すと、アクターもジョッキーの気持ちにこたえて最後の競り合いを制した。
11月29日の東京競馬で他馬に蹴られて右膝蓋骨を骨折。痛み止めをしてでも今回の騎乗にこだわった。「乗り替わる可能性もあったけど、この馬に一番うまく乗れるのは僕だから『
有馬記念までに体を動かせるようになります』とお願いしました。この馬に乗って足が曲がらなくなってもいいと思った」と、まさに執念の騎乗で結果を出してみせた。
「ゴール前では、久々に声が出ました。本当にうれしかった。馬に感謝です。3歳の頃はまだ弱いところがあったけど、4歳になって力をつけて、良くなっているとは思っていたけど、ここまでとは」
こちらもGI初勝利。中川調教師もはにかんだような笑みを見せた。今後は天皇賞・春を目標にしていく予定だ。
人気面では脇役の存在から頂点を極めた
ゴールドアクターと吉田隼騎手。このコンビが来年の競馬界の主役を務めていく。 (柴田章利)
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