中山のアメリカジョッキークラブカップ(AJCC)で、レイチェル・キング騎手(33)=英国出身、オーストラリア拠点=がチャックネイトに騎乗。外国人女性騎手初のJRA平地重賞制覇に意欲を見せた。
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オーストラリアから来た才媛が、日本で新たな歴史を刻む。年明けから短期免許で来日中のキング騎手が、AJCCでチャックネイトと新コンビを結成。日本での重賞初Vへ手応えを口にした。
「能力がある馬なのは間違いないし、スタミナもありそう。成長を見せてレベルアップしていますよ」
これだけ自信をのぞかせるのも1週前追い切りで絶好の感触を得たからだ。11日に美浦Wコースで初コンタクト。直線で仕掛けると、ひと追いごとにギアが上がり6ハロン80秒4-11秒3の好時計をマークした。僚馬を3馬身置き去りにする動きに、「フィーリングが良かったです。折り合いがすごく良かったし、少しずつスピードアップするとてもいい内容でした」とほほを緩めた。
騎乗馬の過去のレース映像はもちろん、戦ってきた相手のその後の成績もしっかりチェックするまじめな性格。前走のアルゼンチン共和国杯で3着同着に好走した内容も高く評価しており、「前走で勝った馬(ゼッフィーロ)もその後(香港ヴァーズ2着と)活躍していますし、この馬もステップアップしていると思います」とうなずいた。
昨夏のワールドオールスタージョッキーズで初来日。第1戦でいきなりJRA初勝利を挙げるなど全体2位の活躍を見せ、「近いうちにまた戻ってきたい」と話していた。その言葉通り半年もたたずに再来日。6日からの2週間で早くも3勝を挙げ、複勝率は・440と日本競馬にアジャストしている。
「日本の国と競馬の両方を楽しんでいます。いい結果を出せてうれしいし、引き続き頑張りたい」
外国人の女性騎手がJRA重賞を制したのは2002年中山大障害のロシェル・ロケット騎手しかおらず、平地ではいまだ例がない。快挙達成へ期待が高まる。(綿越亮介)
■レイチェル・キング(Rachel King) 1990年7月31日生まれ、33歳。英国出身。英国でのアマチュア騎手経験を経て、2014年に活躍の場を求めオーストラリア・シドニーへ。16/17シーズンの同地区見習い騎手リーディング、18年スプリングチャンピオンSをメイドオブヘヴンで制しGⅠ初制覇。20/21シーズンには自身最多の64勝を挙げた。18日現在、JRA通算31戦4勝。