大阪杯は、2番人気のラッキーライラックが好位から直線で内めをこじ開けて差し切り、GI3勝目をマークした。M・デムーロ騎手の好騎乗で牡馬混合のGIで初勝利を飾り、今後は中距離路線の王道を歩む。2着には4番人気の
クロノジェネシス。GI昇格後4年目で牝馬が初勝利を飾り、12頭中2頭だけの牝馬が1、2位を占めた。
自らの力で勝利の道をこじ開けた。無観客のなかラッキーライラックが馬群から抜け出し、GI3勝目。初めて牡馬混合戦で勝利を飾り、地力強化を高らかにアピールした。
「GIを勝つのはやっぱりうれしいですね。いい勝ち方。強かった。今回は、仕上がっていたし、集中して走れていましたね」
前走の
中山記念(2着)に次ぐ2回目の騎乗で答えを出したM・デムーロ騎手が胸を張る。抜群のスタートから、ラチ沿いの3番手を確保。前半1000メートルが60秒4というスローな流れのなか、3コーナーでは、一気にペースが上がり、馬群が一団になった。直線では前がなかなか開かなかったが、ラスト1ハロンあたりで一瞬の隙をついて抜け出し、
クロノジェネシスを振り切りトップゴールに飛び込んだ。
「運がよかったですね。手応えは抜群だった」とジョッキーは、昨年の
オークス(
ラヴズオンリーユー)以来、約1年ぶりのGI制覇を喜んだ。また
大阪杯はGI昇格後4回目だが、2年前の
スワーヴリチャードに次ぐ2勝目になった。
母国イタリアでは、新型コロナウイルスの感染者が10万人を超え、死者も1万人を超えている。この件については「しんどいですね。家族もだし、友達もだし、みんな心配。とにかく頑張ってほしい」とエールを送った。
ラッキーライラックは2歳時に
阪神JFを制したが、同期に
アーモンドアイがおり、牝馬3冠は無冠だった。そこで昨秋から中距離に
ターゲットを絞り、
エリザベス女王杯で約1年8カ月ぶりの白星を挙げるなど、再び花を咲かせた。松永幹調教師は「以前なら、馬群をこじ開けるような感じじゃなかった。精神的に強くなりましたね」と目を細める。デビュー時に480キロだった馬体重も520キロまでに成長。心身ともにたくましくなったのは何よりの強みだ。
今後は未定だが「これぐらいの距離を走らせたいですね」と師は中距離路線の継続を示唆。撃破すべき強敵は多いが、現役最強馬の座がはっきりとみえてきた。 (山口大輝)★5日阪神11R【
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★アラカルト
◆
松永幹夫調教師は、騎手&調教師でV 松永幹調教師は2014年(
フラガラッハ6着)に次ぐ、2回目の出走でV。騎手時代は1995年(
インターマイウェイ)に勝っており、内藤繁春、池江泰郎、高橋成忠(いずれも元調教師)に続いて4人目の騎手、調教師両方での
大阪杯優勝となった。
◆M・デムーロ騎手 2018年(
スワーヴリチャード)以来、2年ぶり3勝目。JRA・GIは2019年
オークス(
ラヴズオンリーユー)以来で通算31勝目。JRA重賞は
東京新聞杯(
プリモシーン)に次ぐ今年3勝目で、通算94勝目。
★入場&売り上げ
大阪杯の売り上げは、120億1269万7800円で前年比78・8%。2週連続で無観客でGI開催となったが、前年比増(100・4%)だった前週の
高松宮記念とは一転した。
ラッキーライラック 父
オルフェーヴル、母ライラックスアンドレース、母の父フラワーアリー。栗毛の牝5歳。栗東・
松永幹夫厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績15戦6勝(うち海外1戦0勝)。獲得賞金6億2726万4700円(うち海外6174万1700円)。重賞は2017年GIII
アルテミスS、GI阪神ジュベナイルフィリーズ、18年GII
チューリップ賞、19年GI
エリザベス女王杯に次いで5勝目。
大阪杯は
松永幹夫調教師が初勝利。ミルコ・デムーロ騎手は04年
ネオユニヴァース、18年
スワーヴリチャードに次いで3勝目。馬名は「五弁のライラックの花(幸運のシンボル)」。