第140回天皇賞・秋(1日、東京11R、GI、3歳上オープン、定量、芝2000メートル、1着本賞金1億3200万円=出走18頭)おじさんパワーで女帝に連勝! 単勝5番人気の
カンパニーが
毎日王冠に続き断然人気の
ウオッカに快勝。JRA初の8歳馬のGI制覇を成し遂げた。勝ちタイム1分57秒2(良)は昨年の
ウオッカと同じでタイレコード。
横山典弘騎手(41)は秋の盾20度目の挑戦で初Vだ。激しい2着争いは
スクリーンヒーローがクビ差しのぎ、
ウオッカは3着に完敗した。
強風が舞う東京の長い直線を疾走した。13度目のGI挑戦だった
カンパニーが、JRA史上初の8歳馬で戴冠。
毎日王冠の33秒0をしのぐ上がり3ハロン32秒9の強烈な末脚で1馬身3/4差の完勝だ。
「やったー!」。引き揚げてきた
横山典弘騎手は馬上で喜びを爆発させたが、元気な相棒は検量室前を勢いよく通り過ぎてパドックの方へ。ゴール直後には10万超のファンの大歓声に驚いたのか、途中でスタンドとは反対方向に走り出して歓喜のウイニングランは完結しなかった。「返し馬はスムーズだったのに、全部、終わった後に手こずった」と力があり余る姿にノリも苦笑いだ。
秋の盾は90年
メジロアルダン(
ヤエノムテキに頭差2着)から20年連続の挑戦で念願の初勝利。「8歳にしてまだまだ進化している。スタッフが完璧に仕上げてくれたおかげです。世のおじさん世代に力を与えてくれたと思う。僕もおじさんだけど…」。勝利騎手インタビューでコンビとスタッフを称え、最後に笑いを誘った。検量室と表彰式、2度見せた、馬上から飛び降りる派手な“フライングディスマウント”も馬と厩舎スタッフへの感謝の表れだ。
毎日王冠は
ウオッカの少し後ろを追走し、直線で外に出したが、今回はライバルより前の位置取り。中団より少し後ろの最内から、直線では先に抜け出した
スクリーンヒーローに狙いを定めた。「集中して走ってくれたし、追い出してから弾けてくれた」とノリ。残り200メートルで勝負は決した。
「返し馬で騎乗した時に今までで一番状態がいいと感じた」と言うように中間の調整も万全。前走から4キロ増と馬体減の心配のある馬にその不安がなかったことで、走破タイムは昨年と同じも、切れ味(昨年は33秒5)は威力を増した。
音無秀孝調教師は「今までは運がなかったが、いつかGIを獲れると信じていた。本当に嬉しい」。ともに歩んできた年月を思い出し、念願の勲章にうっすら涙を浮かべた。
次走は
マイルCS(22日、京都、GI、芝1600メートル)。「人間の考えを超えた馬かもしれません。9歳、10歳でも走っているかも…」とノリ。種牡馬を引退した父ミラクルアドマイヤの産駒唯一の重賞ウイナーが、これからも競馬の常識を覆す“奇跡”を巻き起こす。(下村静史)