第45回
サンスポ賞フローラS(25日、東京11R、GII、3歳牝馬オープン国際、馬齢、芝2000メートル、1着本賞金5200万円、1~3着に
オークス(5月23日、東京、GI、芝2400メートル)の優先出走権=出走15頭)2番手を追走した1番人気の
サンテミリオンが、逃げ粘る
アグネスワルツを力でねじ伏せ、1馬身差で重賞初Vを飾った。タイム2分0秒2(良)。中距離で実績を積み重ねてきた素質馬が、
オークス(5月23日、東京、GI、芝2400メートル)で
桜花賞馬
アパパネと初対決。距離適性の高さを武器に、女王逆転に挑む。なお、3着
ブルーミングアレーまでが
オークスの優先出走権を獲得した。
着差は1馬身でも、内容は堂々たる横綱相撲。横山典騎手と
サンテミリオンのコンビが、単勝190円の1番人気に応えて、
オークスの有力候補に名乗りを上げた。
「強かったですね。お父さんにそっくりです。相手がしぶとくて骨が折れましたが外枠((15)番)から強い勝ち方ができたし、こういう競馬ができるのは楽しみですよ」
父
ゼンノロブロイの3歳春の主戦を務めた横山典の言葉からも、期待の大きさが伝わってくる。
04年に天皇賞・秋、
ジャパンC、
有馬記念とGI3連勝を決めた父は、
サンテミリオンと同じキャリア4戦目でトライアルの
青葉賞を勝ち、
日本ダービー2着。父譲りの素質が開花しつつある。
東京芝2000メートルは外枠不利といわれるが、好スタートを決めてセンスよく前へ。逃げる
アグネスワルツを視界に入れ、2番手で流れに乗る。直線で粘るアグネスをねじ伏せると、着差以上の完勝。しかも勝ち時計は、98年
マックスキャンドゥ(当時はサンスポ賞4歳牝馬特別)の2分0秒3をコンマ1秒上回る、レースレコードだった。
デビューから長い距離を意識して使ってきた古賀慎調教師は「
オークスに出さなければいけない馬」と自らにプレッシャーをかけて臨んだだけに、安堵の表情。「枠うんぬんを言っていたら次のことが言えません。勝って
オークスに行きたいと思っていましたから」。師自身も調教助手時代に携わったロブロイの子とあって、「顔つきや首の使い方が似ていますね」と笑みがこぼれた。
アパパネや
アプリコットフィズなど『豊作』といわれる関東の3歳牝馬にまた1頭、楽しみな馬が加わった。この日5勝で53勝とし、2位
武豊騎手の35勝を引き離してリーディングを独走する横山典も、本番への手応えは十分。ダービーで2着に敗れた父
ゼンノロブロイが果たせなかったクラシック制覇の夢を、娘の
サンテミリオンがかなえてみせる。(黒田栄一郎)