『競馬』という名の推理小説 ~第72話秋華賞(解決編)~
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12.0-10.8-12.0-11.9-11.8-12.8-12.5-11.6-11.2-11.8=1.58.4
(34.8-49.0-34.6) ▼9▼4△6 瞬発戦
アパパネの牝馬3冠なるか?が注目された今年の秋華賞でした。
予想通り逃げたのはアグネスワルツ。
ハナ争いをする馬もいないのでテンの3Fは34.8秒と平均ペース。
しかし、2コーナーから向正面にかけてペースを緩めることはせず3コーナーの上り坂までは一貫した流れを刻みました。
その地点は前半1000mの地点になるのですがここまでが58.5秒。
2番手追走のベストクルーズまで約10馬身離しての大逃げでしたが58.5秒という数字は実は見た目ほどハイペースではありません。
06年は58.4秒、08年は58.6秒、となっているので秋華賞というレース質から見れば例年通りと言ってもいいでしょう。
となると問題なのは2番手以降の馬達。
逃げるアグネスワルツを誰も追いかけていないにも関わらず実際は超の付くようなハイペースではありません。
つまり昨年のエリザベス女王杯の様なレースになっても不思議はないということです。
しかし、3コーナーの坂に差し掛かると異変(?)が起きます。
軽快に逃げていたアグネスワルツの脚が鈍り始めます。
おそらくはワルツ騎乗の柴田Jはこのままでは最後まで持たないので一旦脚を溜めたのだと思います。
(個人的な感想としてはアグネスワルツはあのまま行き切ってしまった方が面白かったのではないかと思います)
2番手以降の馬達も徐々にスパート開始していたこともあってあっという間に隊列が縮まって4コーナーを回る時はほぼ一団となりました。
こうなってしまうと問われる適性は瞬発力。
枠の内外、通ったコースはさほど関係ありません。
中盤がスローだった07年以外の年はレースの上がりが35秒台が定番ですが今年は34.6秒。
8着までの馬全てが上がり34秒台で走破しています。
結局瞬発力上位の馬がそのまま上位を独占というレース内容でした。
レース全体を通してみるとペースを握ったのは実質2番手のベストクルーズで例年よりもスローの瞬発戦だったと言ってもいいと思われます。
勝利したアパパネは3冠達成でお見事の一言。
今年の秋華賞の流れはエリザベス女王杯でも通用する内容なのでそこでも活躍は期待出来るでしょう。
課題は「世代間レベル」、これ次第でしょう。
古馬最上位クラスのブエナビスタとレッドディザイアはエリザベス女王杯には参戦してこないでしょうからメイショウベルーガやプロヴィナージュとの力関係がどうか。
ちょっと問題なのは3番人気で最下位だったオークス馬のサンテミリオン。
出遅れたとしてもこのシンガリ負けは次走叩いて前進と強気にはなれないのではないでしょうか。
(補足)
「▼4▼2△6」や「平坦戦」などの表記はラップギアを使用しています。
数値などは岡村信将プロより提供して頂いています。
表記の意味などの詳細は岡村信将プロのマイページをご覧下さい。 |
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『競馬』という名の推理小説 ~第64話ローズS(解決編)~
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12.2-10.6-11.3-12.6-12.4-12.4-11.6-11.0-11.7=1.45.8
(34.1-37.4-34.3) ▼8▼6△7 瞬発戦
スタート後行く構えを見せたのはオウケンサクラとアグネスワルツ。
しかし、前走逃げ切り勝利をしているトゥニーポートがハナを奪う。
どの馬も懸命に押して前に行った感じではなかったので平均ペースかと思いきやテンの3Fはなんと34.1秒。
このレースが外回りになった07以降最速のスタートとなりました。
3コーナーに突入し一気にペースダウン。
中盤の3Fは37.4秒、こちらは逆に最遅の時計。
後方の馬達はこの緩みで前との差を縮め馬群が一塊となって4コーナーから直線を迎える。
上がり3Fとなり各馬一斉によーいドンのラストスパート。
ラスト4F目までたっぷりと脚を溜めたこともあって▼8→▼6という高い加速が生じ、ほぼ全馬の脚色は同じくらい。
しかしラスト1Fの坂に差し掛かったところで先行グループの脚が鈍り始めます。
内からアパパネが伸びてくるが外からワイルドラズベリーとエーシンリターンズが強襲。
この3頭で決まりかと思った瞬間、その間からアニメイトバイオがあっという間に抜き去って先頭でゴール。
2着にはワイルドラズベリー、3着にはエーシンリターンズで3冠を目指すアパパネは初めて馬券外となる4着でした。
上がり3Fは34.3でダイワスカーレットが勝利した07年の33.6秒には及びませんがそれでも十分速い数字です。
中盤の緩みから来る瞬発力勝負となったのですが、それ以上に着順を左右したのはテンの速さ。
4コーナー回った時点で隊列は縦長にはならず前の馬の距離アドバンテージはあまりない。
それに加えてテンの急発進&中盤の急ブレーキという流れになったことで燃費はかなり効率悪く、前の馬達のガソリンは微妙に少なくなっていたはず。
これが如実に表れたのがラスト1Fでの脚の止まり方。
後方待機していたワイルドラズベリーとエーシンリターンズが最後の坂でも脚が鈍らなかったのは前半の過ごし方によるところが大きかったと思われます。
エーシンリターンズは勝ちに行ったため早めに動いた分の3着でしょう。
ファインプレーだったのは勝利したアニメイトバイオの後藤J。
終始アパパネをマークしたからこそ出来た騎乗かもしれませんが直線に入ってワンテンポ仕掛けを遅らせています。
この「ワンテンポ」が最後突き抜けた最大の要因でしょう。
秋華賞に向けてということになりますが上位3頭に関しては位置取りやコース仕掛けのタイミングの差だけであり同等の評価が出来ます。
秋華賞でもハマればあります。
アパパネは負けはしましたが先行した馬の中で唯一勝ち負けの争いが出来たのは流石。
トライアルとすれば上々の内容だと思います。
但し、展開次第では負けるという可能性が生じたのは確か。
どんな流れになろうともねじ伏せるだけの「絶対王女」という存在まではいかないか。
母のソルティビッドが早熟だったのでその辺りも若干は気になる材料かも。
やや不安に感じるのは2番人気3番人気のアグネスワルツとオウケンサクラ。
先行馬には不向きだったとはいえ逃げたトゥニーポートにも遅れを取っての7着と8着での敗退。
秋華賞では両馬共に条件は今回よりも良くなるはずで一叩きしたことでの変わり身に期待したい。
3冠馬への期待から1番人気はアパパネになると思われますがどオッズ的には混戦ムードなるような気がします。
予想する上では面白くなってきたかも。
(補足)
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『競馬』という名の推理小説 ~第30話オークス(解決編)~
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12.2-10.9-12.3-12.4-12.8-13.1-13.3-13.5-13.5-12.0-11.5-12.4=2.29.9
(35.4-38.3-40.3-35.9) ▼5▼5△9 瞬発戦
馬場状態は稍重でしたが04年や08年と異なり今年の場合は雨が降っている状況でのレースで実際には重馬場に近いと思われます。
過去のオークスと比較するために近5年の平均タイム2.27.04に置き換えてみます。
34.7-37.6-39.5-35.2 =2.27.0
こうしてみるとラップ全体の流れからすれば
「速い→平均→遅い→やや速い」
と判断できます。
3~4コーナー付近の第3ブロックが脚を溜めるため遅くなっているがそれ以外はまずまずの速さであり「総合力を問われたレースであり現段階で東京24を勝つべき馬が勝ったレース」と言えるでしょう。
テンの3F(特に2F目まで)は速く、この馬場状態で前掛かりに勝負をしてくるとは思いませんでした。
引っ張ったのはニーマルオトメ@北村宏J。
結果的には惨敗の最下位に終わったがこのレースを盛り上げる意味ではそのチャレンジは賞賛に値します。
展開に関してですが、テンで脚を使っている分前の馬は展開的には苦しかったはず。
若干その煽りをくったのが3着のアグネスワルツ。
前の2頭は3番手以降の馬よりも4馬身ほど離して先行していたので前で唯一残ったというのは能力の証でしょう。
そもそもこの馬は2歳のマイル2戦が相当評価高かったのですが故障休養が痛かった。
にも関わらずこの結果であれば秋は相当期待が持てるかもしれない。
高速レースにタフな馬場でのレース、故障明けでその反動が心配ですが休養を十分取って秋華賞に出てきて欲しいと思います。
そのアグネスワルツに2馬身差で勝利した2頭はアパパネとサンテミリオン。
大外枠の2頭でしたが蛯名Jと横山Jがこれまた上手かった。
テンが速かったにも関わらずこの2頭は1コーナーまでに中団までポジションを押し上げています。
コーナーワークでややポジションを下げることにはなったがこれで大外枠のマイナス要素は軽減されたはず。
この馬場状態では後方から脚を溜めたとしても最後弾けるかどうかは分からない。
人気薄の馬であればその選択もありかと思えますが人気馬であれば展開のあやでは負けたくない。
馬の能力もさることながら騎乗内容は見事でした。
キングカメハメハvsゼンノロブロイで注目された今年のオークスですが結果は想定外のイーブン。
この延長戦は秋華賞へと持ち越しです。
高速馬場で連対経験のあるサンテ&ワルツの方に分がある気がしますが一夏越しての成長力も重要ですね。
4着以下の馬にもその「伸びしろ」に期待しましょう。
来週の『超』日本ダービーは是非良馬場で見たいですね。
(補足)
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