安田記念の追い切りが30日、東西トレセンで行われた。栗東ではドバイターフ3着からの復帰戦となるリアルスティールが坂路でスピード感あふれる動きを見せ、サンケイスポーツ調教評価で『S』となった。昨年のマイル王ペルシアンナイトも好仕上がりだ。美浦では一昨年の2歳王者のサトノアレスが『S』評価となった。
雨で重くなったウッドチップを力強く蹴り上げていく。ドバイターフ3着以来、2カ月ぶりの実戦となるリアルスティールが活気あふれる走りを披露。動きを見届けた矢作調教師も納得の表情で切り出した。
「先週の動きがもうひとつだなと思っていたが、(きょうは)全体時計も速く、攻める調教ができた」
坂路で僚馬タイフーン(3歳未勝利)を追いかける。徐々にピッチを上げ、力強いストライドで急勾配を駆け上がる。新コンビの岩田騎手に強めに追われると、ラスト1ハロン11秒9(4ハロン51秒7)の切れ味を見せて併入に持ち込んだ。岩田騎手も「先週より反応が良くなっている」と好感触を得たようだ。
ドバイターフから安田記念のローテは、ドバイターフを勝った一昨年と同じ。当時をトレーナーは「負けられないという力みがあって、仕上げすぎた」と振り返る。レースでは12頭立ての(11)番枠で前に馬をおけずに折り合いを欠いて11着。今回は仕上げ過ぎに注意して、メニューを消化。1週前追い切りでは馬の後ろで我慢させながら、しっかりと負荷をかけた。「今は折り合いに不安はない」とトレーナーが言えば、柿崎助手も「トモ(後肢)や重心がしっかりしてきました」と上昇ぶりを伝える。
安田記念にかけるトレーナーの思いは強い。これまで2着3回とあと一歩で涙をのんでおり、「日本一取りたいレース」と公言する。今回はリスグラシュー、モズアスコットと3頭で挑戦。実績最上位のリアルスティールに対して「東京のマイルは向いていると思う」ときっぱり。態勢は整った。世界を制したリアルスティールが府中のマイルで復活ののろしを挙げる。(長田良三)
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