オークストライアルのサンケイスポーツ賞
フローラSが21日、東京競馬場でフルゲート18頭によって争われ、戸崎騎乗の3番人気ウィクトーリアが戦前の逃げ宣言から一転、中団から鋭く脚を伸ばすレース内容で重賞初制覇を飾った。タイムはレースレコードタイの1分59秒5(良)。ハナ差2着の
シャドウディーヴァとともに
オークス(5月19日、東京、GI、芝2400メートル)への優先出走権を獲得した。
想定外の出負けが、新しい引き出しを生み出した。逃げ宣言をしていたウィクトーリアが、ファンもどよめく中団の位置取りから大逆転劇を披露。戸崎騎手が直線でジワジワ外へ持ち出すと、メンバー最速となる上がり3ハロン33秒2の末脚を繰り出して、インから抜け出した
シャドウディーヴァをハナ差捕らえた。
「作戦は逃げということでしたが、スタートで出遅れてしまって。それでも最後にすごい脚で来てくれた。他の馬もいたので(勝ったかどうか)分かりませんでしたが、素晴らしい伸びでした」
作戦通りにいかず苦笑いの戸崎騎手だったが、初コンビで見事に重賞初制覇へ導いた。
それまでの2勝はともに逃げ切りで、中団に控える競馬では5、7着と好結果が出ず“ハナがベスト”が陣営の見解だった。
今回の位置取りには「僕は駄目だと思った」と小島調教師をはじめ、半ば諦めムードが漂ったというが、まさにひょうたんから駒。蓋をあければ、昨年の
サトノワルキューレと並ぶ1分59秒5のレースレコードVで「ジョッキーが臨機応変に対応してくれたし、馬も良くなっていたということでしょう」とトレーナー。うれしい誤算だった。
2勝目の後に大きな反動が出た経緯があるだけに、今後については状態を見てから決められるが、体調さえ問題なければもちろん、
オークスに向かう可能性はある。戸崎騎手は「これだけのパフォーマンスを見せてくれたし、良血馬でもありますから」と3歳牝馬路線の新パートナーに大きな期待を寄せる。
母は2008年の
秋華賞を11番人気で制した
ブラックエンブレム。秋には母子制覇という快挙もかかるが、『ローマ神話の勝利の女神』と名付けられた少女が、新緑の府中でもう一度ビッグサプライズを起こすかもしれない。 (板津雄志)
ウィクトーリア 父
ヴィクトワールピサ、母
ブラックエンブレム、母の父ウォーエンブレム。鹿毛の牝3歳。美浦・
小島茂之厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。戦績5戦3勝。獲得賞金6847万4000円。重賞は初勝利。
サンスポ賞フローラSは
小島茂之調教師、
戸崎圭太騎手ともに初勝利。馬名は父名からの連想で「勝利(ラテン語)、ローマ神話の勝利の女神」。
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