第52回
きさらぎ賞(5日、京都11R、GIII、3歳オープン国際(指)、別定、芝・外1800メートル、1着本賞金3700万円 =出走13頭)
小牧太騎乗で1番人気の
ワールドエースが鮮やかに差し切った。デビュー3戦目の重賞初勝利は、1分47秒0(良)のレースレコード。クラシック戦線に新星が誕生だ。2着
ヒストリカル、3着
ベールドインパクトと、3頭出走した
ディープインパクト産駒のワン・ツー・スリーフィニッシュとなった。
2週前に泥と悔し涙にまみれた淀のターフで、
ワールドエースがきっちりと名誉挽回だ。圧巻のレースレコードを叩き出し、デビュー3戦目で重賞初制覇。手綱を取った
小牧太騎手は、その強さに思わずうなった。
「4コーナーでポンとムチを入れたら思った以上に伸びて、ちょっと早く先頭に立ちすぎたかなと思ったけどね。最後はまだ余裕がありましたね」
モノの違いを見せつける勝ちっぷりだった。中団追走で課題の折り合いをつけると、我慢しながら徐々に進出を開始。外に持ち出された直線で合図に反応して弾けた。上がり3ハロン33秒0の末脚で先行勢を一気にかわし、最後は流しながら1分47秒0でフィニッシュ。クラシックレースへの登竜門となる一戦のレコードタイムを0秒4塗り替えた。キャリア2戦以内で制したのは、2001年の
アグネスゴールド以来5頭目だ。
7連勝で3冠馬に輝いた父
ディープインパクトと同じローテションで挑んだ前走の若駒Sでは、スローペースと重馬場に泣いて2着。だが、先を見据えて折り合いを重視した敗戦を無駄にしなかった。東京競馬場で見守った池江寿調教師は「学習能力がすごいし、精神的にも強い。強さを証明できたね」と2週間の成長ぶりに目を細めた。
さらにトレーナーは「
オルフェーヴルの明け3歳のこの時期と比べて、うまく競馬をしている。楽しみですよ」と笑みを浮かべた。昨年の3冠馬はこのレースで3着。タイプは違えど、一戦ごとに素質の高さを見せており、期待は膨らむばかりだ。
今後は放牧(ノーザンファームしがらき)でリフレッシュし、トライアルを使い、クラシック初戦の
皐月賞(4月15日、中山、GI、芝2000メートル)に向かう。
「インパクトのある勝ち方。クラシックに向けていい競馬ができたね」
トレーナーの期待は、自信に変わりつつある。
ワールドエースが、クラシック戦線の主役候補に堂々と名乗りを上げた。 (川端亮平)