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今週の中央競馬のメインは、3冠初戦の皐月賞(16日、中山競馬場、GI、芝2000メートル)。大物牝馬ファンディーナの参戦が話題を呼んでいるが、牡馬の王道を歩んできた弥生賞勝ち馬のカデナ(栗東・中竹和也厩舎、牡)が実績では上位に立つ。そのカデナの主戦を務める福永祐一騎手(40)が、サンケイスポーツに独占手記を寄稿。パートナーへの信頼とともに、人気馬に騎乗する責任感を口にした。16度目の騎乗で、悲願の皐月賞Vへ。ユーイチが静かに燃えている。
カデナと挑むクラシック初戦の皐月賞が、今週末に中山競馬場で行われます。1週前追い切りでビシッと負荷をかけ、ここまで順調にきています。すごくリラックスした状態で調整できていて、1度使って体が締まった感じもありますね。
初めてコンビを組んだ昨年11月の百日草特別(500万下)は、アドマイヤミヤビに敗れて2着でしたが、素質の高さと将来的な可能性を強く感じました。続くGIII・京都2歳Sは、鮮やかな末脚で重賞初勝利。ただ、ややハミに頼って走るところなどの課題があったため、前田幸治オーナー、中竹調教師のご理解を得て、弥生賞前からはより関係性を深めるために普段の調教から携わらせていただいています。
すごく性格がよくて賢いので、教えたことをすぐに理解してくれます。日々のコンタクトを重ねることで信頼関係が深まっていて、またがったときから意識が自分に向いていることを感じます。厩舎スタッフともコミュニケーションが取れていて、チームとしての一体感がありますね。
最大の魅力は鋭い切れ味。一瞬の脚がとても速いですね。弥生賞はスローペースで不向きな流れになることは分かっていましたが、決め手を磨くことに主眼を置いていたので、あえてポジションを取りに行きませんでした。本当にいい脚を使ってくれて、「思っていた以上に強い」と感じた方もいたんじゃないでしょうか。今後は切れ味を磨きつつ、いろいろな状況への対応力を高めたいと考えています。完成度としてはまだまだですが、成長して完成したときにどんな走りをしてくれるのか、本当に楽しみです。
舞台は前回と同じで、小回りの中山芝2000メートル。器用に小脚を使うことができ、コーナーワークも下手ではありません。前走ほどペースは緩まないと思うので、折り合いも心配していません。
3戦全勝の牝馬ファンディーナが参戦という話題もあって、注目度の高いレースになりそうですね。春の大目標は日本ダービーに置いていますが、叩き台とは捉えていません。人気を背負う立場なので、いい状態で臨み、結果を出さないといけないと思っています。前哨戦の弥生賞を勝ち、王道路線を歩んできた馬として自信を持って騎乗します。 (JRA騎手)
★皐月賞の構図は!?
出走予定の18頭で、前走6着以下だったのは1頭だけというハイレベルな争い。その中でも頭ひとつリードしている印象なのがカデナと、69年ぶりの牝馬Vを狙うファンディーナの2頭だ。
同舞台のトライアル弥生賞を制したカデナは、デビューから5戦すべてメンバー最速の末脚(ラスト600メートル)を披露。前走で初の中山コースもクリアし、死角は少ない。
一方のファンディーナは、3戦すべて大楽勝。スケールの大きい走りが魅力だ。相手はグンと強くなるが、この後はダービー参戦も視野に入れている。話題と実力を兼備した、競馬界のニューヒロイン候補だ。
★皐月賞の特別登録馬(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載
★10日のカデナ
滋賀・栗東トレセンは全休日。自厩舎の馬房で静養した。担当の江藤厩務員は「変わらず順調にきています。まだ馬がしっかりしていないけど、その途中であれだけ走るわけだから、持っているものが違うんだろうね」と前走を振り返る。「とにかく性格が良くて、世話がしやすい。変なところで力を使わないし、くだらないことをしない」と笑顔で長所を評価していた。
★史上2組目へ
福永騎手の父、洋一さん(68)は、騎手時代の1977年にハードバージで皐月賞を制覇。福永騎手がカデナで勝てば、武邦彦(74年キタノカチドキ)-武豊(93年ナリタタイシン、2000年エアシャカール、05年ディープインパクト)父子に次ぐ、史上2組目の父子制覇となる。
★馬名の由来
カデナ(Cadenas)は、フランス語で「南京錠」の意味。有名ブランド「エルメス」は毎年のテーマに合わせたカデナを作り、人気を博している。
福永 祐一(ふくなが・ゆういち) 1976(昭和51)年12月9日生まれ、40歳。滋賀県出身。96年3月に栗東・北橋厩舎からデビュー。同年に53勝を挙げ、JRA賞の最多勝利新人騎手に輝く。99年桜花賞(プリモディーネ)でGI初制覇。JRA通算1万5419戦1959勝。重賞はGI20勝を含む124勝。ほかに海外GI5勝を挙げている。父、洋一さんは現役時代に“天才”といわれた名騎手。
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