【TAROの競馬研究室】前々日オッズの意味を考える/チャンピオンズカップ展望
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本題に入る前に、2年半ぶりに新刊が出ますのでよろしくお願いいたします。
→『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』
こうすれば当たる! というようなものではなく、
「どの馬を買うか」
という予想ではなく、それ以外のことを考える重要性について書いています。よろしくお願いいたします。
本題へ。
ジャパンカップはヴェラアズールが直線馬群を捌いて抜け出して勝利。見事G1初挑戦初制覇を飾った。道中はユニコーンライオンが予想通りに馬群を引っ張ったものの、スローペースで一団になったために直線は瞬発力に加えて渋滞を抜け出す力も問われた。
こうなると欧州騎手は強い。もともと欧州の中長距離路線はほとんどスロー。加えて馬群が密集するのも日常茶飯事で、馬体をぶつけ合いながら伸びてくることも珍しくない。いつも通り早仕掛けで末脚を失った川田騎手&ダノンベルーガを格好の目標に据えた外国人騎手の独壇場だった。
さて、今回は少しオッズの話をしたい。ジャパンカップでは金曜発売があったが、ではその段階でどれくらい馬券が売れているかという話である。というのも、金曜段階のオッズを見て、
「○○が人気し過ぎ」
というような話をよく耳にするからである。もちろん数字を見れば実際に気になるものなのだが、結論から先に書いてしまうと金曜段階のオッズ、あるいは平場の前日オッズなどはほぼ気にすることはない。それよりも自分なりのツールでオッズを推定することが大切になる。
参考までにジャパンカップが金曜段階でどれくらい売れていたかを見てみたい。以下は最終的な総売り上げと、金曜23時58分段階の票数の差である。ここでは単勝と馬連を見てみたい。
◆ジャパンカップの単勝総売り上げ票数
12223124票
→金曜23時58分時点の売り上げ票数
634431票
以上を計算すると、金曜の段階で、634431÷12223124=0.0519...
であるから、全体の5%強ほどが売れているということである。逆に言えば残りの約95%弱はまだ売れていないということでもあり、この段階でオッズを語ることがさほど意味がないことがわかる。
もっとも、単勝は比較的早い段階で票数が集まりやすい傾向にあるので、これをさらに馬連で見てみる。
◆ジャパンカップの馬連の総売り上げ票数
27307833票
→金曜23時58分時点の売り上げ票数
107514票
計算すると、107514÷27307833=0.0039...
ということで、なんと全体のわずか0.4%ほどしか売れていない。これは総売り上げの約250分の1である。
以上から考えるに、
「前々日オッズで一喜一憂することはあまり意味がない」
といえるのではないだろうか?
これは平場における前日オッズも同様で、例えばジャパンカップデーの東京1レースが前日23時58分段階でどれくらい売れていたかというと…
単勝総売り上げ 428659票
前日23時58分時点 18497票
となり、全体の約4.3%。前日の単勝オッズを見ていろいろと語ったところで、その後に20倍以上の売り上げがあると考えると、実はあまり意味がないことがわかる。
ちなみに東京1レースは9時31分発走だったが、その11分前の9時20分段階での単勝の売り上げ票数は、162640。これは全体の約38%となる。つまりラスト10分あまりで60%以上の売り上げがあるとわかる。普段平場を買っていると、
「直前でオッズが動きすぎ」
と感じるかもしれないが、3分の2近くが本馬場入場が始まった後に売れているのだから、動くのは当然なのである。
このことからの教訓は、オッズを読むことの大切さである。目に見える数字に一喜一憂したところで、大半は直前で売れてオッズが大きく変わるのだから、むしろどうなるかを予想する方が良い。
また、券種ごとにオッズを見ることも大切である。ジャパンカップのヴェラアズールは何度か1番人気になったが、馬連や3連複などは一貫してシャフリヤールやダノンベルーガに続く3番人気に留まっていた。
現代競馬は予想力も大事だが、こういったオッズをどう見るかも勝つためには重要になる。
~チャンピオンズカップ展望
では、いつも通り最後は週末の注目馬で締めたい。今週末はチャンピオンズカップ。注目馬はコチラ。
・ジュンライトボルト(石川裕紀人騎手)
注目はジュンライトボルト&石川裕紀人騎手。
友道厩舎にしては珍しいダート馬。ダート転向後まだ3戦という新興勢力だが、その3戦がいずれも好内容で、芝時代と変わらぬ立ち回りの上手さを見せている。前走のシリウスSもやや早仕掛け気味だったが、ハピの追撃を封じる完勝。好位から運べるレースぶりには安定感があり、今年の相手関係ならば即通用しても驚けない。外国人騎手やトップジョッキーが集まるG1において石川騎手というのも妙味が増しそうだ。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【TAROの競馬研究室】武豊騎手の【新】穴傾向/みやこS展望
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天皇賞(秋)はイクイノックスが直線鋭く伸びて勝利。昨年のエフフォーリアに続いて今年も3歳馬が制した。この現象はもちろん3歳勢が一定のレベルにあることもひとつだが、もうひとつは、そもそも有力3歳馬の参戦が増えていることもある。したがって、3歳馬が天皇賞(秋)で走った=世代レベルが高いというわけではなく、そもそも3歳馬が走りやすいレースに3歳馬が出走してくるようになったということだろう。
そして、勝ち馬と同等かそれ以上に観客を沸かせたのが2着のパンサラッサ。24年前のサイレンススズカを彷彿とさせるような逃げで、直線も貯金を生かして粘り込んだ。パンサラッサは札幌記念2着からの参戦だったが、今回は7番人気と低評価。東京芝の差し傾向も気になり個人的にも消してしまったが、結果的には人気の盲点になっていた。
先週の競馬からはもう一つ、土曜日に行われたスワンSの話もしておきたい。注目は3着のルプリュフォール。といっても馬ではなく、武豊騎手だ。武豊騎手はこの秋の重賞で2度目の2ケタ人気での穴。
神戸新聞杯 ヤマニンゼスト 12番人気2着
スワンS ルプリュフォール 11番人気3着
最近の武豊騎手は、人気薄の差し馬に騎乗すると腹を括って馬群を突く、あるいは思い切って溜めてくることが多い。もともと技術的には日本でもトップクラスなのは今でも変わらないので、こういった「決め打ちの武豊」的な穴好走は今後増えて行くかもしれない。この原稿を書いている最中、ちょうどJBCクラシックでもクリノドラゴンであとひと息の4着(8番人気)に追い込んで来ていた。
かつては武豊騎手を穴で買えるなど想像もしなかったが、新しいパターンに注目したい。
~みやこS展望
では、いつも通り最後は週末の注目馬で締めたい。今週末はみやこステークスが行われる。注目はこの馬。
・ハピ(横山典弘騎手)
オメガパフュームが当然期待を集めるだろうが、馬券的に面白そうな注目馬はハピ。前走のシリウスSでは初の古馬相手ながら内を突いて2着と健闘。横山典騎手も初騎乗ながら手の内に入れていた。同騎手は継続騎乗で馬とフィットしていくのがパターンで、本馬とも2度目のコンビでさらなる上積みがありそう。先行勢が揃ったことで展開利もありそうだし、ダート3歳勢のレベルの高さを考えても、引き続きチャンス大だろう。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
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