第34回
ホープフルステークス(28日、中山11R、GI、2歳 オープン国際(指)、セン馬不可、馬齢、芝・内2000メートル、1着本賞金7000万円 =出走17頭)今年からGIに昇格した2歳重賞は、クリスチャン・デムーロ騎乗で1番人気のタイムフライヤーが、後方から直線で外を通って力強く伸びて快勝。タイム2分1秒4(良)。来年のクラシック有力候補が、今年の中央競馬最後の重賞を締めくくった。2着は4番人気の
ジャンダルム、3着は8番人気の
ステイフーリッシュだった。
初代王者にふさわしい圧巻のパフォーマンスだった。タイムフライヤーが後方一気の豪快な追い込みで初GIを奪取。C・デムーロ騎手がファンの声援に何度も手を突き上げて応える。
「今回はGIを勝つことを目標に来日したので、最後のGIを勝ててすごくうれしいです」
2013年の
桜花賞(
アユサン)以来のJRA・GI2勝目に、25歳のイタリアンは喜びを爆発させる。随所に鞍上の好プレーが光るレースだった。当初は前めでの競馬を予定していたが、「ゲートを出てから少し遅かったし、全体的なペースも速かったので、脚をためる形に切り替えた」。瞬時の判断もさえていた。
前半1000メートル59秒6のやや速い流れの中、後方で焦らずじっくりと脚を温存する。3~4コーナーの勝負どころでは、
ジャンダルムの後ろを追いかけるようにスパート開始。抜群の手応えで直線半ばで先頭に並びかけると、最後はしぶとく食い下がる
ジャンダルムを1馬身1/4振り切った。
「仕掛けたらすごくいい反応で、最後はいい瞬発力でした」とC・デムーロ騎手はパートナーを絶賛する。
皐月賞と同じ舞台を経験させるための参戦だったが、最高の結果を出してクラシックへの視界はくっきりと開けた。阪神競馬場で観戦した松田調教師も「来春に向けてのテストランは終わりました」と大きな手応えを口にする。
今後は年明けに宮城県・山元トレセンに放牧に出て、目指すはもちろん
皐月賞、ダービーだ。C・デムーロ騎手は「距離も問題ないし、能力も足りている。まだ体つきに幼いところもあるので、来年が楽しみな素材」と潜在能力を評価した。
昨年の勝ち馬
レイデオロは、ご存じ今年のダービー馬。
タニノギムレット(02年)、
キングカメハメハ(04年)とダービー2勝の名門・松田厩舎に、3勝目を狙えるスター候補が誕生した。(斉藤弘樹)
アラカルト ◆
松田国英調教師 JRA・GIは2013年ジャパンCダートの
ベルシャザール以来の14勝目で、
石坂正調教師と並ぶ歴代6位。同重賞は58勝目。 ◆
ハーツクライ産駒 JRA・GIは
ジャパンCの
シュヴァルグランに次ぐ今年2勝目で通算6勝目。 ◆今年のJRA平地GI 関西馬18勝、関東馬6勝。騎手ではミルコ・デムーロ騎手の6勝がトップで、過半数の13勝を外国人騎手が優勝。調教師では
清水久詞調教師が4勝でトップ。
タイムフライヤー 父
ハーツクライ、母タイムトラベリング、母の父ブライアンズタイム。鹿毛の牡2歳。栗東・
松田国英厩舎所属。北海道白老町・(有)社台コーポレーション白老ファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績5戦3勝。獲得賞金1億825万9000円。重賞初勝利。
ホープフルSは、前身の2013年までのラジオNIKKEI杯2歳S時代を含め、
松田国英調教師が06年(GIII)
フサイチホウオーに次いで2勝目、クリスチャン・デムーロ騎手は初勝利。馬名は「時を超える者」。