同時代に誰がいるのか。 どの分野においても、その答えは人生に少なからず影響を与えるようで、順位を決める領域ではなおさららしい。 吉田沙保里が君臨していた頃の55キロ級の選手たちや、井上尚弥と同じ階級にいるボクサーのなかには、生まれた時代が違えば世界の頂に立てた人もいる。 競馬も同様で「あの馬さえいなければ……」「別の年のレースなら……」など、自然とタラレバへ思考を引っ張る馬がいる。 今回のテーマは同一G1連続同一着順(1着を除く)。1着を除く、としたように、記事の焦点は惜しくも勝ち切れなかった馬になる。 ▼同一G13年連続3着 ナイスネイチャ(1991年~1993年有馬記念) ナリタトップロード(2000年~2002年天皇賞(春)) ▼同一G13年連続2着 クロコスミア(2017年~2019年エリザベス女王杯) ディープボンド(2021年~2023年天皇賞(春)) 中央芝G1限定では、上記4頭の3年連続が同一着順の最長だった。 1着以外のG1連続着順が牡馬クラシックや牝馬三冠戦で、圧倒的に強い馬がいる世代なら、まだ諦めがつきそうなものの、走る相手が世代戦以上に入れ替わる古馬G1だと一層歯がゆい。 ナイスネイチャはその先駆け的存在。私は有馬記念リピート時期の生まれで、某ゲームアプリで遭遇した。同い年の皐月賞馬・ダービー馬はトウカイテイオーで、二冠馬不在の菊花賞は4着だった。 有馬記念の3年連続3着は、2番人気→4番人気→10番人気。最終年は人気薄の立ち場で馴染みの場に帰還する。初年度と二年目の勝ち馬が14番人気と15番人気というのも面白い。一世一代の大駆けが、ブロンズコレクターの完成を後押ししている。 ナリタトップロードは皐月賞3着・ダービー2着と、上半期のクラシックを惜敗した口だが、各々勝ち馬はアドマイヤベガ・テイエムオペラオーと強力。ただ、ダービー馬を逆転し、菊花賞を戴冠した。4頭のうちG1馬はこの馬だけ。 2000年・2001年天皇賞(春)の勝ち馬はテイエムオペラオーで、同世代のトップランナーが再度立ちはだかる。最後の年は二つ下の菊花賞馬マンハッタンカフェに勝ち鞍を奪われた。やはり同世代・同時代に強い馬がいる。 クロコスミアはクラシックで善戦した〝先輩たち〟に劣るが、三冠は最終戦のみ間に合い、秋華賞は10番人気6着だった。エリザベス女王杯も同じく京都競馬場。 リピート期間は9番人気→9番人気→7番人気といずれも人気薄。展開に恵まれ、毎年「昨年は上手くいっただけ」と見られたが、最後まで先行してスローだった。ちなみにクロコスミアの2023は父コントレイル、「母善戦マン×父三冠馬」になる。 ディープボンドの前2年は改修工事があり、阪神→阪神→京都と開催場が替わった。3年目は「パワー型で京都合わない派」と「ズブイから京都合う派」に分かれたが、後者に軍配。 3歳時には京都新馬杯を制し、菊花賞に4着もある。4年連続出走となる今年の天皇賞(春)も3着、京都大賞典も昨年3着、今年2着と淀は庭。獲得賞金はGI未勝利馬の歴代トップで、あとはG1タイトルだけほしい。 そのほか、G1級を含む中央G1芝以外のレースだと、オメガパフィームの2018年~2021年JBCクラシック4年連続2着がある。これがG1級レース連続同一着順の最長記録。 JBCクラシックは持ち回りで、開催場が別々だからより凄い。また、同時期2018年~2021年の東京大賞典を4連覇と勝つ力はある。「JBCクラシックは2着」の宿命だったのか。 連続3着は、1999年~2001年中山大障害のゴーカイ、2008年~2010年の川崎記念フリオーソ、2011年~2013年ジャパンカップダートのワンダーアキュートなど。 挙がった馬で現役はディープボンドだけ。馬の7歳は、人間換算で32歳らしい。奇しくも同学年だった。来年は同学年でなくなる同学年でもある。今年の下半期G1は応援馬券を買おう。