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皐月賞2着馬ヒルノダムールが、悲願のGI奪取を狙ってくる。夏は札幌記念で古馬相手に善戦(4着)。その後はここ一本に目標を定め、菊花賞仕様にハードに鍛えられてきた。能力上位の実績馬が、最後の1冠へ執念を燃やす。
出走予定馬へ
3冠最後の一戦は日本ダービー1、2着馬に、夏の長距離戦で素質を開花させた新興勢力など多士済々のメンバーが勢揃い。だが、1頭忘れていないか? そう、皐月賞2着馬ヒルノダムールが巻き返しへ燃えている。
「獣医さんも言っていたけど、春より馬体に実が入ってきた。十分に乗り込んできているし、仕上がりはいいよ」
担当の平岩厩務員が誇らしげに頼もしく成長した愛馬を見つめる。今週は厩舎レクリエーションのため、火曜日(19日)は全休。だが、この日は重賞出走予定馬のみに許された馬場入り特権を生かして坂路を軽く1本。ほどよい気合乗りを見せつつ、20日に行う最終追い切りに備えた。
「札幌記念(4着)から十分に間隔を開けて、中間は3000メートルを克服するために、ビシビシと負荷をかけている」。最後の1冠だけは渡さないとばかりに、昆調教師は“スパルタ調教”を課してきた。春は4ハロンの坂路中心だったが、10月に入ってからの追い切りはCWコースへ変更。先週(13日)は意識的に7ハロン追いを敢行するなど、菊花賞仕様で悲願のGI制覇へアタックする。
皐月賞で2着。続くダービーでの9着大敗が響き、今や立場(人気)が逆転してしまったが、皐月賞でエイシンフラッシュやローズキングダムを上回る末脚を駆使した自負がある。もちろん、世代トップクラスの能力は疑いようがない。
「前日輸送がよくないのかも…。今が478キロ前後で今回も470キロ台では出せるはず。今回は(前日輸送のない)京都だし、コース相性(2戦2勝)もいいから」と平岩厩務員は力を込める。
先週、厩舎のエース・ローレルゲレイロ(昨年のGI高松宮記念、スプリンターズSを制覇)が引退を発表した。「ゲレイロとはタイプが違うけど、この馬も大きいところを獲れると思っていたからね」。GIを獲る難しさや、獲った時の喜びを知る平岩厩務員だからこそ、仕上げに抜かりはない。菊の舞台でヒルノダムールが大きな勲章を手に入れる。(瀬戸聡)
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