横山和騎乗で2番人気の
タイトルホルダーが、2番手から抜け出しGⅠ3勝目を挙げた。
天皇賞・春に続く連勝で、勝ち時計2分9秒7は堂々のレース&コースレコード。次走は
凱旋門賞(10月2日、パリロンシャン、仏GⅠ、芝2400メートル)に直行する予定だ。2着は5番人気の
ヒシイグアスで、1番人気の
エフフォーリアは6着。平地GⅠの1番人気馬はJRA最長記録となる13連敗となった。
歴代最多となる19万1394票のファンの期待に、圧巻のパフォーマンスで応えた。2番手から抜け出した
タイトルホルダーがレコードタイムで、ライバルたちを完封。天皇賞・春に続くGⅠ連勝で、現役最強を改めて証明した。
「すごい支持をしていただいていましたし、いい結果を出さないと、と思っていました。リズムよく走れば結果はついてくると思っていたので、僕がひるまないように馬を信じて走りました」
祖父・横山富雄騎手、父・典弘騎手に続く、レース史上初の親子3代制覇となった横山和騎手が胸を張った。好スタートから先頭に立ったが、
パンサラッサがハナを主張。前半1000メートル57秒6のハイペースを2番手で追いかける形となったが、「ゲートを出てしっかり出して行って来るなら来い、というつもりでいきました」と強気に攻めた。徐々にギアを上げて直線は早めに先頭に立つと、最後まで力強く脚を伸ばして2馬身差で快勝。勝ち時計2分9秒7は、2011年の
宝塚記念で
アーネストリーがマークした従来の記録を0秒4上回り、レース&コースレコードを更新した。栗田調教師は「驚いていると同時に、ほっとしています。彼(横山和騎手)の思い描くレースをしてほしかったし、絶大の信頼を置いてみていました」とたたえた。
天皇賞・春から中7週。短期放牧を挟んで、一段とたくましくなった。暑い時期を考慮して調整程度にとどめていたが、「馬が走りたい気持ちがあったし、精神的にもどっしりとしてきました。気性面と肉体面の成長がうかがえました」とトレーナーは目を細める。横山和騎手も「折り合いや、走っている格好とかに成長を感じますし、もっと成長してくれると思います」とさらなる飛躍に期待を込めた。
今後は登録している
凱旋門賞に直行する予定。「(日本馬が)何頭も挑戦して勝てなかった。大きい舞台で、人も馬も成長していかないといけない」と指揮官が語れば、ジョッキーも「甘くはないですが、
タイトルホルダーとなら乗り越えていけるかなと思います」と力を込めた。
同世代の
エフフォーリアにも4度目の対戦で初めて先着した
タイトルホルダー。国内を制圧し、いざ
凱旋門賞へ。今秋はフランスで、世界最強馬の称号をつかみとる。
■
タイトルホルダー 父
ドゥラメンテ、母メーヴェ、母の父モティヴェイター。鹿毛の牡4歳。美浦・
栗田徹厩舎所属。北海道新ひだか町・岡田スタッドの生産馬。馬主は山田弘氏。戦績12戦6勝。獲得賞金7億9311万1000円。重賞は2021年GⅡ
弥生賞ディープインパクト記念、GI
菊花賞、22年GⅡ
日経賞、GI
天皇賞・春に次いで5勝目。
宝塚記念は
栗田徹調教師、
横山和生騎手ともに初勝利。馬名は「選手権保持者。父、母父、二代母父がダービー馬なので」。
★宝塚記念アラカルト
◆入場売り上げ
宝塚記念の入場者数は4万3297人で前年比919・8%。売り上げは222億6132万2000円で、同99・5%の微減だった。
◆ファン投票1位での勝利 21年(
クロノジェネシス)に続く、2年連続16回目。
◆
天皇賞・春勝ち馬の同年の
宝塚記念勝利 グレード制を導入した84年以降では、06年(ディープインパクト)以来、16年ぶり7回目。
◆
横山和生騎手 2回目の挑戦で初勝利。前回は20年(
トーセンスーリヤ)の7着。JRA・GⅠは
天皇賞・春を同馬で制したのに続く今年2勝目で、通算2勝目。JRA重賞も同馬での
天皇賞・春以来で今年5勝目、通算8勝目。
◆親子3代制覇
横山和生騎手の祖父の横山富雄・元騎手は71年(メジロムサシ)、父の
横山典弘騎手は91年(
メジロライアン)、14年(
ゴールドシップ)で優勝しており、史上初の親子3代
宝塚記念制覇となった。なお、横山家としては21年に富雄・元騎手、
横山典弘騎手、
横山武史騎手が親子3代
天皇賞・秋制覇、今年の
天皇賞・春では富雄・元騎手、
横山典弘騎手、
横山和生騎手が親子3代制覇を達成している。
◆
栗田徹調教師 管理馬初出走で初勝利。JRA・GⅠは
天皇賞・春を同馬で制して以来で今年2勝目、通算3勝目。JRA重賞も同馬で制した
天皇賞・春に続く今年3勝目、通算7勝目。
◆馬主・山田弘氏 所有馬が初出走で初勝利。JRA・GⅠは
天皇賞・春を同馬で制して以来で今年2勝目、通算4勝目。JRA重賞も同馬による
天皇賞・春に続く今年3勝目、通算6勝目。
◆生産者・岡田スタツド 今年出走の2頭を含む生産馬延べ4頭目の出走で初勝利。これまでの最高は18年(
スマートレイアー)の10着。JRA・GⅠは
天皇賞・春を同馬で制して以来で今年2勝目、通算5勝目。JRA重賞も
天皇賞・春を同馬で優勝したのに続く今年3勝目、通算28勝目。
◆
ドゥラメンテ産駒 今年出走の2頭が産駒初出走で初勝利。JRA・GⅠは
オークス(
スターズオンアース)に続く今年4勝目、通算5勝目。JRA重賞も
オークス(
スターズオンアース)に続く今年6勝目、通算8勝目。
◆
宝塚記念きょうだい対決 同じ母をもつきょうだいが同じJRA・GⅠに出走するのは、
天皇賞・春(
メロディーレーン、
タイトルホルダー)に続く、29回目。同時出走したきょうだい馬がJRA・GⅠを勝利するのも
天皇賞・春以来で今年2回目、通算3回目。
◆牡馬の勝利 18年(
ミッキーロケット)以来で4年ぶり57回目。
◆4歳馬の勝利 20年(
クロノジェネシス)以来、2年ぶり35回目。
◆単勝2番人気馬の勝利 20年(
クロノジェネシス)以来、2年ぶり18回目。
◆馬番⑥の勝利 07年(
アドマイヤムーン)以来、15年ぶり5回目。
◆勝ちタイム2分9秒7 11年(
アーネストリー)の2分10秒1を上回り、従来のレースレコードおよびコースレコードを更新した。
◆関東馬の勝利 17年(
サトノクラウン)以来、5年ぶり17勝目。通算成績は関東馬17勝、関西馬46勝。
◆関東馬によるワンツーフィニッシュ 2着に
ヒシイグアスが入り、17年(1着
サトノクラウン、2着
ゴールドアクター)以来5年ぶり6回目。JRA・GⅠでは今年の
皐月賞(1着
ジオグリフ、2着
イクイノックス)、
安田記念(1着
ソングライン、2着
シュネルマイスター)に続き、今年3回目。
◆優先出走権 優勝馬には10月22日(土)にオーストラリアのムーニーバレー競馬場で実施されるGⅠ
コックスプレート及び、11月5日(土)にアメリカの
キーンランド競馬場で開催されるGⅠ
ブリーダーズCターフへの優先出走権が付与される。