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今年もGIレースの全馬追い切り診断を行うことになりました。
40年以上の経験を活かして、
調教から「状態のいい馬」「状態の悪い馬」を見つけていきます。
皆様の参考になれば幸いです。
●第41回高松宮記念(GI)追い切り診断
・アーバニティ
3月24日 美浦W
66秒6-51秒8-38秒4-13秒0 馬なり
前走後は放牧に出て、2月24日に帰厩、3月に入ってからは週に2本ずつ時計を出している。先週にはポリトラックで5F63秒9-37秒0と仕上げ過程はすこぶる順調。今週はすでに体ができ、阪神への輸送もあるからとの判断からだろう、馬なりに終始して、別掲のタイム。前半の行きっぷりは悪くなかったが、ラスト1F13秒0も要したようにしまいの伸びがひと息、体調は悪くないが、さらなる良化まではどうか。
・ウエスタンビーナス
3月23日 美浦坂
57秒8-37秒2-24秒4-12秒3 一杯追
テンの1Fは20秒6の遅さで、ピッチを上げたのは3F標を過ぎてから。軽快に動いたが、いざ追い出されてからの反応が鈍く、上がり時計ほどの鋭さはなし。むしろ、もたつき気味で左ステッキが1発入っても伸びた印象はなし。ここ4戦続けての二ケタ着順からよくなったところはひとつもない。
・エーシンフォワード
3月24日 栗東坂
52秒5-38秒2-24秒6-12秒3 一杯追
昨年12月の香港遠征から帰って3ヶ月半ぶり、先週の16日に坂路51秒4-37秒9をマークしているとはいえ、乗り込み量が時計3本と少ない。今週、いっぱいに追い切ったのはそれを解消させんがためだろう。時計的には十分で、とくにラスト2Fを12秒3、12秒3で走った内容もさすがといえるもの。しかし、「重かったらやってくれ」との西園師の指示の中、いっぱいに追い切ったということは、太めが残っていた証拠。その追い切りは合格でも果たしてこのひと追いだけで中身までできたどうか。昨年の3着時は、使い込まれていながら坂路51秒1-37秒4をマークしての出走だっただけに、取捨は当日の馬体重、気配を見てからにしたい。
・キンシャサノキセキ
3月23日 美浦W
54秒0-39秒2-13秒0 馬なり
前半は首をグッと下げ、いかにも気分がよさそうな走り、14秒8のスローにも鞍上との折り合いぴったりだ。結局追ったところなしだったため時計は平凡だが、3月5日に使ったばかりのローテーションを考えればこれでいい。張りのある馬体と力強いフットワーク、少しでも追えば大幅な時計短縮が可能な脚色だったし、昨年との比較でも遜色ない好仕上がり。何よりも掛かるところがなかったのがいい。
・サマーウインド
3月24日 栗東坂
52秒8-38秒1-25秒2-12秒8 G強め
盛岡→大井→船橋で3連勝しての休養入り。今回は4ヵ月半ぶりになるが、1月末からすでに坂路で10本以上の時計を出している。2月9日の時点で53秒9-39秒2、3月3日に52秒5-38秒5、10日に51秒7-37秒6、そして、先週16日に50秒1-36秒9なら質、量ともに十分すぎるほど、うなるような走りが目を引いた。だからこそ、今週はG前で気合を入れるだけにとどめたのだが、それで別掲の時計なら文句なし。芝でもと思わせるスピード感あふれる動きに不気味さいっぱいである。
・サンカルロ
3月23日 美浦坂
53秒2-36秒2-23秒9-12秒2 馬なり
前半をセーブし、17秒0の行き出し。しかし、3F標からはにわかにピッチをあげ12秒3、2Fを過ぎると11秒台だ。アッという間に4馬身ほど先行していた前を捕らえ、首ほど出てゴール。先週にも3F36秒4をマークしているので調教量は十分だし、この日も実は2本めに3F41秒1をやり、3本めにこの時計、一直線の伸びという中身の濃さ。前走勝ちの反動もなく、むしろ、さらに一段と調子をあげての大一番だ。
・サンダルフォン
3月24日 栗東W
68秒7-52秒7-38秒5-11秒6 G一杯
全体時計は平凡でも、残り200メートル地点から追い出されての伸びはなかなか。8歳馬なのでガラリ一変は望むべくもないが、こと体調に関しては100点満点がやれる。
・ショウナンアルバ
3月23日 美浦W
52秒2-37秒8-11秒3 馬なり
例によって首の高いフォーム、フットワークも大きい、しかし、モタモタ感はなく、力強さを感じさせる。4Fの短め、前半をセーブしたとはいえ、追ったところなしでラスト1F11秒3は久々の切れ味だが、それもこれもムキにならずに落ち着き、乗り手の指示通りに折り合って走れたから。この馬の場合は一流の脚力があるのは先刻承知済み、その非凡な脚力を発揮できる精神状態にあるかどうかが大きな問題。この追い切りの時点では何か大仕事をやってのけそうな予感がする。
・ジョーカプチーノ
3月24日 栗東坂
55秒7-39秒3-計不-12秒9 G一杯
調教ではあまりよさは見せない。今週も可もなし不可もなしといった程度。ただし、この馬は無事で順調であることが何より、きちっと調教されていれば走れるから実績通りに評価していい。その実績はGIのNHKマイルC勝ち、この距離1200mは4戦4勝である。
・シンボリグラン
3月23日 美浦坂
49秒8-36秒9-24秒7-12秒5 馬なり
白さを増した馬体に9歳の年齢を感じさせるが、動きには活力があり、馬なりでこの時計だから調子が悪かろうはずがない。しかし、速い時計を出すのはいつものことで、過大に評価するのはどうか。確かに時計は速いが、その時計ほどの鋭さは伝わってこず、グイグイと伸びた内容でもない。重心が沈まず、逆に頭が高くなったように見えた点が物足りない。
・スプリングソング
3月24日 栗東坂
52秒0-38秒5-25秒3-12秒3 G一杯
中3週の間に最終追い切りを含めて時計4本と乗り込めるのだから、この一事を持って好調キープと判断できる。とはいうものの、これだけのメンバーに入ると大きな変わり身が要求されるわけで、その観点でいうと格別によくなったところは見当たらない。
・ダッシャーゴーゴー
3月24日 栗東坂
55秒6-40秒6-25秒6-12秒1 馬なり
前走時の1週前追い切りで坂路48秒9の猛時計を出した馬が、今週は55秒6の遅さ、意識して控えたものとはいえ、いささか拍子抜けしてしまう。さては前走大駆けの反動?、いやそれは違う、17日に53秒2-38秒4-11秒8をマークしたときの感触がよっぽどよかったのだろう、その好状態キープにつとめただけである。いぜん元気いっぱいであることは、坂を真一文字に駆け上がり、きちっとラスト1Fを12秒1の速さでまとめたことでわかる。二走ボケはない。
・ビービーガルダン
3月24日 栗東W
66秒4-51秒8-37秒7-11秒8 G強め
ここ3戦の大敗からは、すでに7歳となり、年齢的な衰えが危惧される。しかし、今週の追い切りでは、久しぶりに集中力が見られ、直線は横を向いたりせずまっすぐに走ってきた。時計的にはこれまでと大差はないが、動きにパワフルさが戻ってきたし、余裕という点でも今回が最近では一番あったと思う。佐藤哲が付きっ切りでケイコをつけてきた成果が感じられる。実績馬の復活大駆けもないとはいえない。
・ヘッドライナー
3月24日 栗東坂
52秒3-37秒8-24秒7-12秒4 馬なり
昨年10月以降、大敗の連続、そこで3ヶ月の休養を。おかげですっかり元気回復し、先週の16日の坂路では50秒2-36秒8の好タイムをたたき出している。今週も追ったところなしで別掲の時計なら準備万端整ったと見ていいが、さて、CBC賞を勝ったときのように、1頭で行けるのかどうか。逃げられないと昨今はもろい馬だけに。
・レッドスパーダ
3月24日 美浦坂
51秒3-37秒5-24秒7-12秒5 馬なり
ペルーサの外で余裕しゃくしゃく、馬なりで首ほど先着した。少しでも追えばおそらくぶっちぎり、そう思えるほどの手ごたえのよさ、脚勢だった。16、20日にも速い時計を出しているし、絶好調は疑う余地がない。いつ大化けしてもおかしくない素質の持ち主と見ているだけに、ついに大仕事をやってのけるか。
・ワンカラット
3月24日 栗東W
80秒5-65秒4-50秒4-37秒1-11秒9 一杯追
休み明けの前走時は体も立派すぎたし、第一、追われての反応が鈍く、動きもまったく精彩を欠いていた。厩舎筋からは“仕上がった”とのコメントもでていたようだが、明らかに今回のためのたたき台と見て取れた。そのたたき台をへた今回は16日にウッド6F78秒8-36秒5の猛ゲイコをやったこともあって、だいぶ余分な肉が取れ、気力も充実してきた。今週の追い切りで併走馬を突き放せなかったところにまだ物足りなさはのこるものの、前走よりはずっといい。
鈴木和幸
競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。
日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。
著書に
「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)など多数。
鈴木和幸公式ブログ では週末レースの推奨馬などを無料公開!
http://blog.livedoor.jp/suzuki_keiba/
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