第60回アメリカジョッキークラブカップ(20日、中山11R、GII、4歳上オープン国際、別定、芝・外2200メートル、1着本賞金6200万円=出走11頭)一昨年の有馬記念以来、1年1カ月ぶりの出走となったシャケトラが早め先頭から押し切って重賞2勝目を挙げた。管理する角居勝彦調教師(54)=栗東=は昨年7月の道交法違反で6カ月の調教停止が7日に明けた後の初勝利となった。タイム2分13秒7(良)。1番人気のフィエールマンは追い込み届かず2着に敗れた。
これが世界を制した厩舎力だ。左第3中手骨の骨折により、一昨年の有馬記念以来1年1カ月ぶりだったシャケトラが快勝。引き揚げてきた愛馬を見届けると、角居調教師は穏やかにほほえんだ。
「休み明けなので直線は息切れするんじゃ…と思っていました。馬を大事にしてくれるオーナー(金子真人氏)なのでじっくり調整。ビッシリ仕上げていましたからね」
中団5番手を追走。3コーナーで進出すると、4コーナーで先団を射程にとらえる。直線入り口で早々と先頭に立つと、フィエールマンの追撃をしぶとくしのぎきった。
一昨年の日経賞に次ぐ重賞2勝目は、厩舎の今年初勝利。角居師にとっては、昨夏の道路交通法違反(酒気帯び運転)による6カ月の調教停止処分が6日に満了し、復帰後の初Vとなった。「今年の初勝利が重賞。びっくりしています」。これで現役最長の16年連続重賞勝利となった。喜びを感じつつ、表彰台に立つのは「まだまずいですから」と自粛して上村洋行技術調教師に任せ、反省の色を見せた。
「1年ぶりでも先生(角居師)からは“できているよ”と聞いていたので、勝つイメージを持って競馬をしました。素晴らしい動きで、直線で手前を替えてからも素晴らしい伸び脚でした」
石橋騎手にとっても待望のVだ。昨秋10月8日の東京で落馬し、右足関節を脱臼骨折。今月5日に復帰してから初の重賞制覇を、金曜夜にインフルエンザで乗れなくなった戸崎騎手の代打で決めた。2着フィエールマンにはデビュー3戦で騎乗しており「相手も強い馬と知っていたけれど、よく頑張ってくれました」と相棒をたたえた。
今後は未定だが、順調なら大阪杯や天皇賞・春などGI戦線が視野に入るだろう。「まだまだ良くなると思います」と角居調教師がいえば、「1年ぶりでこの競馬。能力があります」と石橋騎手も地力を評価する。ウオッカ(ダービーなどGI7勝)、ヴィクトワールピサ(ドバイワールドCなどGI3勝)など世界への挑戦にも貪欲な厩舎の仕上げで、復活を果たしたシャケトラ。その視界に再び、頂点への道が映り始めた。 (千葉智春)
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