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「…で、被害額は?」
ひったくりに遭った老人にトリガミ警部が尋ねる。老人は悔しげに唇をかみながら答えた。
「はい、現金272万円を奪われました」
警部の相棒、黒三角刑事はその額に驚愕(きょうがく)した。正直、老人は大金を稼いでいる人物には見えなかった。黒三角刑事は老人に疑惑の視線を向けた。
「あなた、なぜそんな大金を持って水道橋付近をウロついていたんです? しかもやけに中途半端な額だ。どうやって手に入れたお金なんです?」
「そ、それは…」。なぜか老人は言いよどむ。働いて得た金ではないらしい。
「272万円か…」。トリガミ警部も首をかしげて考えてみる。「確かに奇妙な額だが、どこかで見たような数字でもある…ん、待てよ。水道橋といえばウインズ後楽園。そして、きょうはダートGIチャンピオンズカップの日。人気の中心は…ハッ!」。警部は顔色を変え、老人に尋ねた。「おい、じいさん。あんた今年のフェブラリーS、どの馬をいくら買った?」。
すると老人の口から驚愕の答え。
「コパノリッキーの単勝を1万円ほど」
「た、単勝272倍の馬を1万円。た、確かに272万円だ…」
そんな奴いるのか、と目を丸くする黒三角刑事。隣でトリガミ警部は深々とうなずいた。「なるほど、この老人はコパノリッキーでもうけた272万円を再びコパノリッキーに投資しようとして水道橋を訪れた。そこでひったくりの被害に遭ったというわけだ」。
そうなんだろ、と決めつける警部。だが意外なことに老人は首を横に振った。
「いや、違う。今回の狙いはコパノリッキーではない。あの馬はもう穴にはならんからな」
穴党の警部は同感とばかりにうなずいた。「では、今回の狙いはどの馬?」
老人は今回の穴馬を指名した。
「前走で復調の気配を見せたグレープブランデーが絶好の狙いめで◎。当然、コパノリッキーは○評価。▲はムーア騎乗のクリノスターオーだ。△はクリソライト、ニホンピロアワーズ、ローマンレジェンド、ベストウォーリアあたりだな」
得意げに予想を披露する老人。奪われた金が戻らない限り、彼は馬券を買えないのだが…。 (作家)
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東川 篤哉 (ひがしがわ・とくや) 1968年2月22日生まれ、46歳。広島県尾道市出身。岡山大学卒業。96年、鮎川哲也編『本格推理8』に「中途半端な密室」が初掲載。2002年に「密室の鍵貸します」で新人発掘プロジェクト「Kappa-One」第1弾に選ばれて長編デビュー。10年9月発表の「謎解きはディナーのあとで」はミリオンセラーとなり、11年の本屋大賞を受賞した。僚誌・週刊ギャロップに不定期でGI予想小説を寄稿。
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