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第29回エプソムC(10日、東京11R、GIII、3歳上オープン国際、別定、芝1800メートル、1着本賞金4000万円=出走18頭)良血馬が名手に導かれて、待望の重賞初勝利を飾った。道中で2~3番手を追走したトーセンレーヴが、直線で早めに先頭に立ち、ダノンシャークの追撃をクビ差振り切った。タイム1分46秒7(良)。クレイグ・ウィリアムズ騎手(35)=豪州=はこの日、特別3連勝を含む4勝の大活躍だった。半姉にブエナビスタ(父スペシャルウィーク)を持つ期待馬は、中京記念(7月22日、中京、GIII、芝1600メートル)で重賞V2を狙う。
力任せの競馬で東京の長い直線を押し切ってしまうのだから、能力が一枚上だったと言わざるを得ない。掛かり気味に2~3番手を進んだトーセンレーヴが、直線で早めに先頭に立つとそのまま粘り込み、重賞6度目の挑戦で待ちに待った初のタイトルを奪取した。
「行きたがって、思っていたよりも前の位置取りになった。それでも、他の馬が先に行ってくれたので、何とか前に壁を作ることはできた。東京の直線は長くてタフだから、先頭に立ってからは早くゴールが近づいてくれと思っていたよ」 当初の作戦は、6~7番手から直線で早めに先頭に立つ形。思い描いていたレースとは違ったものの、勝利を手にしてクレイグ・ウィリアムズ騎手が胸をなで下ろした。
絶好のスタートを切って、まずは先頭へ。外からレッツゴーキリシマが先手を取りに行ったことで、何とか逃げる形をふせぐことはできた。それでも、道中は明らかに力んだ走りで、マイネルスターリーを含めた3頭で後続を大きく引き離す。余力がなくなっても不思議はなかったが、直線でさらに加速。一気に後続を突き放すと、最後まで前を譲ることなくゴールに飛び込んだ。
ウィリアムズは昨年の青葉賞3着、プリンシパルS1着、ダービー9着に次いで、レーヴには4度目の騎乗。「ダービーに騎乗しているし、この馬のことは知っているつもりだった。だから、勝てて喜びはひとしお。掛かっても勝てたのは、馬の能力があるからこそだよ」とパートナーをたたえた。自身もこの日、特別3連勝を含む4勝を挙げて「4つも勝てたのはうれしいね」と笑顔。5月5日の今年初騎乗から、わずか1カ月間で京都新聞杯(トーセンホマレボシ)、京王杯SC(サダムパテック)に次ぐ重賞3勝を含む16勝をマークと、豪州の名手の勢いはとどまるところを知らない。
姉にブエナビスタを持つ良血馬の重賞初Vに、池江寿調教師は「ホッとしました」と安堵(あんど)の表情を浮かべた後、「確かに掛かったけれど、あれくらいの勢いがあったほうがいい。調子も上がっていたしね」と満足の表情を浮かべた。「秋に向けてもうひとつ(重賞を)勝っておきたいので、おそらく中京記念へ。それから毎日王冠、天皇賞へと行ければ」と、ケタ外れの能力を披露したトーセンレーヴの今後に、大きな期待を膨らませていた。(下村静史)
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