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朝日杯フューチュリティSの追い切りが16日、東西トレセンで行われた。栗東ではデイリー杯2歳Sの覇者で、2戦無敗のエアスピネルが坂路でシャープな伸びを見せて先着。サンケイスポーツ調教評価で『S』を獲得した。武豊騎手(46)の史上初となるJRA平地GI完全制覇へ、視界が大きく広がった。同じく2戦2勝のボールライトニングは坂路を馬なりながら軽快に上がった。
鞍上の大記録達成の期待に応えられるパフォーマンスを披露した。エアスピネルが降りしきる雨のなか、熱のこもった動きで坂路を駆け上がってきた。
「先週はラスト1ハロンが物足りなかったかな、という感じだったので、今週はラスト1ハロンを伸ばす調教をして、予定通りの追い切りができました」
笹田調教師は納得の追い切りに白い歯をこぼした。僚馬コウザンアプローチ(未勝利)を追いかける形でスタート。雨で水分を含んだ馬場をものともせず、一杯に追われる併走馬をかわす。4ハロン52秒3-12秒1で1馬身先着。サンケイスポーツ調教評価も最上級の『S』を獲得した。
追い切りに騎乗しなかったが、コンビを組む武豊騎手はJRA平地GI22レース完全制覇がかかる。JRAは2歳GIでは通常、行われない共同記者会見を急遽(きゅうきょ)設定。笑顔で臨んだユタカは「記録は気にしないが、あと一つとなればね。年に1度しかないチャンスだし、ここまできたら勝ちたい。今年は人気を集める馬ですからね。大きなチャンス、という気持ちです」と金字塔へ意欲を見せた。
スピネルの母エアメサイアには全12戦で手綱をとっており、思い入れのある血統だ。「母で勝った秋華賞(2005年)はとてもうれしかったし、あの子でGIを勝てればさらにうれしい。毛色も違うし、体形も似ていないが、走る能力はあるし、一流馬特有の背中をしている」と母子2代にわたるGI制覇へ、力を込めた。
デビュー前の調教に乗って「走るバランスが本当よかった」と好感触を得た逸材。初戦と前走のデイリー杯2歳Sが期待に違わぬ内容で2連勝を飾っている。「初戦が直線で追うと、本当にいいフォーム。大きな武器になると思う」と振り返り、「2戦目であれだけのパフォーマンスをできる馬はいない」と自信を深めた主戦は、晴れやかな表情で会見を終えた。
次代の競馬界を背負うニューヒーローが誕生した瞬間、前人未到の偉業が達成される。 (渡部陽之助)
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