第45回
高松宮記念(29日、中京11R、GI、4歳上オープン国際(指)、定量、芝1200メートル、1着本賞金9500万円 =出走18頭)4番人気の香港馬
エアロヴェロシティが豪州出身の主戦、ザカリー・パートン騎手(32)=拠点・香港=に導かれ、好位から力強い脚取りでゴール前の激戦を制した。外国馬の優勝は初めて。昨年の
香港スプリント(GI)覇者として実力を披露した。タイムは1分8秒5(稍重)。1/2馬身差の2着は6番人気
ハクサンムーン。さらにハナ差の3着に3番人気
ミッキーアイルが入った。
雨が降り、ボコボコに掘れた馬場から泥が跳ね上がる。悪条件の電撃戦で、香港馬
エアロヴェロシティがゴール前で鋭く伸びて、地力を誇示。パートン騎手がうなるほどの強さだった。
「初めて経験する馬場状態で、直線の入り口では苦しがっていた。『ここで終わりかな』と思ったけど、坂を上がり切ってからギアが入った。強い勝ち方だった」
午前中から雨が降り、内側の馬場は悪化。香港を拠点に世界で活躍する鞍上の手綱さばきが、さえ渡った。好発を決め、道中は2、3番手で荒れたインをロスなく運ぶ。直線に向くと、馬場のいいところを選びながら徐々に外へ。最後は
ミッキーアイルと馬体を併せて再加速し、得意の右手前に替えてグイッとひと伸び。先に抜け出していた
ハクサンムーンをかわして、ゴールを駆け抜けた。
ジョッキーは「左回りは(デビュー戦以来、約3年ぶりで)2回目だったので、慣れない左手前で走るコーナー部分は距離のロスを少なくし、直線は馬場のいい外に行った」と説明。「大好きな日本のGIを勝ててうれしい」とほほえんだ。
短距離路線の層が厚い香港で、昨年のGI
香港スプリントを制した。初の海外遠征も
クリアし、ポール・オサリバン調教師は自信を深めた。
「『未知数な部分もあって、本当に勝てるかな』と思っていたけど、勝ててうれしい。今後はこれから検討し直さないと」と、予定になかった
グローバルスプリントチャレンジへの参戦を示唆した。
トレーナーは1989年の
ジャパンCを
ホーリックスで制した父、デイヴ・J・オサリバン調教師に続き、外国人調教師としては初の親子JRA・GI制覇を達成。「日本は向いているね」と、秋の
スプリンターズS参戦を見据えた。
香港に続いて日本も制圧した
エアロヴェロシティ。世界のスプリント王への道を切り開いた。 (川端亮平)
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