ジャンヌ
豚ミンC
第52回共同通信杯(11日、東京11R、GIII、3歳オープン国際(特指)、別定、芝1800メートル、1着本賞金3800万円=出走12頭)北村宏司騎乗で6番人気のオウケンムーンが直線鋭く伸びて差し切り勝ち。3連勝で重賞初制覇を果たした。2008年の菊花賞を制した父オウケンブルースリにとっても、産駒初の重賞出走でいきなりのV。タイム1分47秒4(良)。3/4馬身差の2着には3番人気サトノソルタスが入り、1番人気グレイルは見せ場を作れず7着に終わった。 重賞ウイナーもGI3着馬もディープ産駒も一蹴した。過去10年の勝ち馬からクラシック連対馬が5頭出ている出世レースを制したのは、2008年の菊花賞馬オウケンブルースリを父に持つオウケンムーン。堂々の3連勝で重賞初勝利を挙げた。 「坂下での反応が良かったですし、よく伸びてくれました。前走の中山より、東京の方が合うと思っていましたね」 北村宏騎手が満足げに振り返る。逃げたコスモイグナーツが軽快に飛ばす縦長の流れを3、4番手でスムーズに追走。3コーナー過ぎから前との差を徐々に詰め、残り400メートル手前でゴーサインを出す。上がり3ハロン33秒5の末脚で前2頭をあっさりかわし、外から迫る2着サトノソルタスも封じてフィニッシュ。着差こそ3/4馬身だったが、危なげのない完勝だ。 血のロマンも実った。ムーンのオーナーは、父オウケンブルースリも所有していた福井明氏。父の生まれ故郷でもあるノーザンファームに依頼して提示してもらった花嫁候補の中から、オーナーが選んだのが母ムーンフェイズだった。現在、JRAに登録されているオウケンブルースリ産駒はわずか7頭。オーナーの情熱が実を結んで、スター候補が誕生した。 次走は皐月賞(4月15日、中山、GI、芝2000メートル)に直行する見込み。「調教では動かないタイプですが、徐々にまとまってきました。あとは順調に行ってくれれば」と鞍上が言えば、国枝調教師も「つかみどころがなくて、面白い馬だよ。いいものを持っているし、バリバリやらずに臨みたい」と意気込みを口にした。 クラシックの登竜門で父の名を高めたオウケンムーン。その未来は月明かりのように輝かしいはずだ。 (花田隆)★11日東京11R「共同通信杯」の着順&払戻金はこちらオウケンムーン 父オウケンブルースリ、母ムーンフェイズ、母の父エリシオ。鹿毛の牡3歳。美浦・国枝栄厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は福井明氏。戦績4戦3勝。獲得賞金5175万5000円。重賞初勝利。共同通信杯は、国枝栄調教師は初勝利、北村宏司騎手は2004年マイネルデュプレに次いで2勝目。馬名は「冠名+母名の一部」。