岡村信将
蒼馬久一郎
第46回札幌記念(22日、札幌9R、GII、3歳上オープン国際、定量、芝2000メートル、1着本賞金7000万円=出走16頭)佐藤哲三騎乗のアーネストリーが、GI馬3頭を一蹴し、1番人気に応えて完勝。1分59秒4(良)。宝塚記念は小差3着に終わった5歳馬がいよいよ本格化を遂げ、秋の天皇賞でGI初制覇を狙う。昨年のダービー馬ロジユニヴァースが1馬身3/4差2着に粘り、復調をアピール。3着は7番人気アクシオンで3連単は3万9100円と好配当だった。 薄曇りの空模様とは逆に、実にすっきりとした勝ちっぷりだった。やはり役者が違う。GI馬3頭を抑えて1番人気に支持されたアーネストリーが、楽々と押し切り勝ち。実りの秋へ、好スタートを決めた。 「完ぺきやったね。きょうの状態でこれだけ走れれば、文句ないよ。格の違いを見せることができたと思う」 佐藤哲騎手が納得の表情を浮かべた。ゲートを出てスッと3番手へ。人馬のリズムを守り、勝負どころの3、4コーナーでも手応え十分。あとはどこで仕掛けるかだけ。直線に向いてGOサインが飛ぶと、一歩先に抜け出しを図ったロジユニヴァースを一気にかわし、そのまま後続を封じ込めた。「最後は(気を抜いて)遊んでいた」というジョッキーの言葉からも、余力を残しての勝利だったことが分かる。 佐々木晶調教師は「普通にゲートさえ出てくれれば負けないと思っていた」と自信の口調で胸の内を明かした。 GI初挑戦だった前走の宝塚記念で1馬身差3着。勝ったナカヤマフェスタは今秋、世界最高峰レースの仏GI凱旋門賞に挑戦。競り合った2着ブエナビスタは、春にドバイシーマクラシック(UAE・GI)2着。世界レベルの一戦で、超GI級の底力を証明した。札幌記念前に「格が違うでしょ」とトレーナーが言い切ったのも無理はない。 今後は天皇賞・秋(10月31日、東京、GI、芝2000メートル)へ直行し、ジャパンC(11月28日、東京、GI、芝2400メートル)はパスして、有馬記念(12月26日、中山、GI、芝2500メートル)へ向かう予定。今週半ばに栗東トレセンに帰厩して、GI2戦に集中する。 「この馬は、これからまだ良くなる」とトレーナー、ジョッキーは口を揃えた。北の大地で、アーネストリーがGI制覇へと新たな一歩を踏み出した。(宇恵英志)