金鯱賞が14日、中京競馬場で10頭によって争われ、最低10番人気の
ギベオンが逃げ切り、
大阪杯(4月4日、阪神、GI、芝2000メートル)の優先出走権を獲得。デビュー4年目の西村淳騎手は、JRA重賞初制覇となった。単勝支持率53・64%(1・4倍)と圧倒的な1番人気に推された
デアリングタクトは2着に敗れた。
衝撃の結末が待っていた。単勝227・3倍。10頭立てで最低人気の
ギベオンが、猛追してきた3冠牝馬
デアリングタクトをクビ差2着に退けて、まんまと逃げ切り。ターフビジョンにビッグな配当が表示されると、ファンの入場が再開された場内からは思わずため息がもれた。
「藤原(英)先生と相談して『ハナに行こうか』ということになりました。最後は内、外が離れていたので祈るような気持ち…。何とかしのいでくれましたね」
4年目でJRA重賞初勝利を飾った西村淳騎手が、会心の表情で回顧する。果敢に先手を奪い、リズム良く逃走。3、4コーナーでは手応えが鈍るようなところがあったが、鞍上の思いも通じて最後まで粘り通した。
自身、30度目の重賞挑戦で、初めてタイトルをゲット。「ひとつ下の世代は重賞を勝っているし、本当にうれしいですね。これからも頑張っていきたい」とジョッキー。3年目の団野、斎藤、菅原明騎手らが売り出し中だけに先輩としての意地を見せ、同期生初の重賞勝ちを成し遂げた。
阪神競馬場で観戦した藤原英調教師は「よく乗ってくれた。作戦はうまくいった」と“してやったり”の面持ちだ。
ギベオンは3歳時には
NHKマイルCで2着になり、
中日新聞杯で重賞初勝利。その後、2年3カ月にわたり勝ち星から遠ざかっていたが、西村淳騎手の好騎乗でGI馬4頭を封じ込めて復活劇を演じた。優先出走権を得た
大阪杯に向かうかは未定だが、先行力で春の古馬戦線を盛り上げることは間違いないだろう。 (佐藤将美)
★14日中京11R「
金鯱賞」の払い戻し&結果はこちら
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ギベオン 父
ディープインパクト、母コンテスティッド、母の父ゴーストザッパー。鹿毛の牡6歳。栗東・
藤原英昭厩舎所属。北海道千歳市・社台ファームの生産馬。馬主は(有)社台レースホース。戦績18戦4勝。獲得賞金2億739万3000円。重賞は2018年GIII
中日新聞杯に次いで2勝目。
金鯱賞は
藤原英昭調教師、
西村淳也騎手ともに初勝利。馬名は「ナミビアで発見された隕石の名で、発見場所の名」。
■西村 淳也(にしむら・あつや) 1999年7月30日生まれ、21歳。兵庫県出身。2018年3月に栗東・田所秀孝厩舎からデビューし、1年目は13勝で中央競馬関西放送記者クラブ賞を受賞。2年目は55勝、昨年は50勝を挙げている。19年にはフランス遠征を経験するなど、関西若手のホープとして台頭中。