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【天皇賞・秋】世界の脚復活!モーリス、12秒7

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【天皇賞・秋】世界の脚復活!モーリス、12秒7

 中距離の最強馬決定戦、天皇賞・秋の追い切りが26日、茨城・美浦トレセンで行われ、昨年の年度代表馬モーリス(美浦・堀宣行厩舎、牡5歳)が、切れ味鋭い動きを見せた。安田記念札幌記念と2着が続いたが、陣営は巻き返しに意欲を示している。実績のない2000メートルでも力を発揮できる態勢は整った。

 この日の真っ青な秋空と同じように、モーリスにスッキリした切れ味が戻ってきた。連戦連勝だった年度代表馬が、まさかの連敗から復活をアピールする動きだ。

 早朝は肌寒さが残る美浦トレセンだったが、主役がWコースに登場すると、報道陣から熱い視線が注がれる。先導するバクシンテイオー(オープン)を半馬身ほど追走。直線入り口で内に並び、ゴール直前に仕掛けられると、パワーを一気に解放して1馬身突き放した。5ハロン68秒0、3ハロン38秒6-12秒7の瞬発力は昨年の連勝中を思い出させるものだ。

 「先週はまだ手先の重さ、反応の鈍さを感じたので、もう1本しっかりやっておきたいと思い、水曜日に追い切りました。放牧から帰厩したときとは大きく違うし、(勝った)昨年の安田記念よりいい状態だと思います」

 堀調教師が満足そうに評価した。通常は木曜追い切りが多いが、より負荷をかけてケアに時間を多く取るため、水曜追いに。調教師の言葉から、思惑どおりの仕上がりになったことは明らかだ。

 昨年は負け知らずの6連勝で、今年初戦のチャンピオンズマイル(香港、GI)も快勝。しかし、帰国初戦の安田記念で折り合いを欠いて2着に敗れ、2000メートルの札幌記念でも後方から届かず2着。一転して暗雲がたれこめた。

 今回も鍵は距離。激しい気性のため遅い流れに折り合いがつかなければ、直線で伸びきれない不安もある。

 「一生懸命に走りすぎてしまうが、調教ではそれも解消してきている。今ならスローペースでも問題ないでしょう」

 堀師は距離克服を信じるが、コンビを組む名手ライアン・ムーア騎手の存在は大きい。気性の難しい馬を折り合わせることにかけては、天下一品の腕を持つ。凱旋門賞(ファウンド)の巧みな手綱さばきを見ても、現在、世界で最も乗れるジョッキーだ。

 GI4勝の希代の名マイラーも次走の香港を最後に引退。天皇賞・秋が国内ラストランとなる。中距離の国内最高峰を勝てば、名声は揺るぎないものに。年度代表馬はカテゴリーを超えて進化を遂げる。 (柴田章利)

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