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第144回天皇賞・秋(30日、東京11R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝2000メートル、1着本賞金1億3200万円 =出走18頭)GIホース7頭が揃った古馬最高峰の一戦は、驚異の日本レコードでの決着となった。天皇賞・秋は、ニコラ・ピンナ騎乗の7番人気トーセンジョーダンが後方から直線力強く抜け出して、GI初制覇を成し遂げた。管理する池江泰寿調教師は、菊花賞に続く2週連続のGI勝利を達成。1番人気で、史上初の牝馬による秋の天皇賞連覇を狙ったブエナビスタは4着に敗れた。
電光掲示板に表示された見たことのない勝ちタイムに場内がどよめいた。1分56秒1。7番人気の伏兵馬トーセンジョーダンが、従来のレースレコードを1秒1も更新する日本レコードで歓喜のゴールに飛び込んだ。
「機械にのっているみたいに扱いやすかった。ペースが流れてくれたのは良かったし、完璧に騎乗できたよ」
圧巻の走りにニコラ・ピンナ騎手が満足げな表情を見せた。道中は11番手から。前半1000メートルが56秒5の超ハイペースの中、力を温存して4コーナーを回る。直線では先行勢が失速する中、外からグイグイ伸びる。最後はダークシャドウとの叩き合いを制し、GIホース7頭が参戦した秋の盾を堂々と奪取した。
ゴール後、ピンナ騎手が高々と右手を突き上げる。母国のイタリアでは勝つことはおろか、GIに1度も騎乗させてもらえずにいただけに、「来日したときからGIを勝つのが夢だった」。今年の短期免許終了日に、見事に夢を実現した。各国で活躍できるように騎乗技術だけでなく語学の勉強も怠らない努力家。「今回の勝利は自分のキャリアの中でも大きなこと。自信がついた」と23歳は胸を張った。
管理する池江泰寿調教師はオルフェーヴルによる菊花賞での3冠達成に続き、自身初の2週連続のGI制覇。3歳時にはクラシックの有力候補といわれながら、裂蹄でシーズンを棒に振った。遠回りして得たタイトルに喜びもひとしおだった。今年重賞3勝目の愛馬に「順調に使えるようになったのが大きい。トップクラスの馬というのを証明できてよかった」と笑顔を見せた。
トレーナーが学生時代の91年に東京競馬場で天皇賞・秋を観戦。そのとき、父・泰郎氏が管理していた1番人気のメジロマックイーンが1位入線から18着に降着…。あれから20年。「競馬を長くやっていると不思議な縁がある。あの時の悔しさを少しは晴らせたかな」と感慨深げに語った。
次走はジャパンC(11月27日、東京、GI、芝2400メートル)。「今回の2000メートルよりもJCの方が競馬がしやすいんじゃないかな」と指揮官の見通しは明るい。来年の海外遠征が期待される新王者が、次は世界に立ち向かう。(宇恵英志)
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