第41回
エリザベス女王杯(13日、京都11R、GI、3歳上牝馬オープン国際(指)、定量、芝・外2200メートル、1着本賞金9300万円=出走15頭)届け、届いてくれ-。鬼の形相でM・デムーロ騎手が左右からムチを振ると、
クイーンズリングが一完歩ごとに差を詰める。ゴール前までもつれた、クビ差決着のGI初勝利。最後は人馬の執念がものをいった。
「最高です!! 出遅れて、最後の直線もちょっと失敗した。でも、最後まですごい脚を使ってくれた。本当に強かった」
満面の笑みを浮かべた鞍上は、賛辞の言葉を並べてパートナーをねぎらった。
飛び上がるような形のスタートで後手に回った。人気を背負う
マリアライト、
ミッキークイーンより前で運ぶ作戦は崩れたが、慌てることなく、道中は2頭を斜め前に見ながら中団インを追走。前半1000メートル通過が1分1秒8と緩い流れの中、勝負どころまでパワーをため込んだ。最後の直線は、狙っていた内側に
シングウィズジョイがいたために外へ切り替えたが、
ミッキークイーンにブロックされて再びインへ。
メイショウマンボと
パールコードの間を割ると、メンバー最速の上がり3ハロン33秒2の末脚を繰り出して猛追。先に抜け出していたシングをゴール直前で捕らえ、8着に敗れた昨年のリベンジも果たした。
当初、デムーロ騎手は今年の
桜花賞馬
ジュエラーに乗る予定だったが、筋肉痛で回避したため、昨年の牝馬3冠戦を戦った相棒とのコンビ継続が可能になった。また、JRA移籍2年目で現在は京都市在住の鞍上にとっては、“地元”GI初勝利。「ちょっと気にしていたから本当にうれしい」と破顔一笑だ。
開業5年目で初のGI勝利を挙げた吉村調教師は「うれしいけど、ちょっと信じられない気持ちもある」と喜びをかみしめ、「前走からの3週間でまたパワーアップした。もともとポテンシャルの高い馬だったけど、成長期とマッチした」と充実ぶりに目を細めた。
トレーナーは「1400メートルから2200メートルの重賞を勝った希少なタイプ。牝馬はなかなか使う番組がないけど、来年以降が楽しみです」と締めくくった。今後は未定ながら、オールラウンダーぶりを証明した
クイーンズリングの未来は、輝きに満ちている。 (川端亮平)
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