第54回京成杯AH(13日、中山11R、GIII、3歳上オープン国際、ハンデ、芝・外1600メートル、1着本賞金4100万円=出走16頭)単勝2番人気のザレマが2、3番手追走からゴール前で抜け出し、重賞初V。全国リーディング首位を快走する内田博幸騎手は初コンビで重責を果たした。1分32秒1(良)。1馬身半差2着に14番人気のアップドラフトが入り、馬単6万超、3連単67万超馬券の大波乱。重賞連続2着で単勝2倍の断然人気に推されたヒカルオオゾラは9着に敗れた。 14回目の重賞挑戦で“善戦ウーマン”を返上した。内田博幸騎手のゲキに応えてザレマが念願のタイトルを獲得。勝利の女神からようやく祝福された。 好スタートから楽に2番手をキープ。開幕週で絶好のターフを内ラチ沿いにロスなく追走。勝負所では逃げるシンボリウエストと、外のサイレントプライドにブロックされる形で身動きが取れなかった。そこでタメが利いたのも結果的にプラスに作用した。直線の坂下から鞍上の左ムチが唸ると、アップドラフトの追撃を1馬身1/2抑えた。 「開幕週の中山マイルで内枠。じっくりと構えているとキツいんでスタートを決めて前へ、と思っていた。いい位置が取れたし、(勝負所では)ポケットに入ったが、馬を信じて我慢していた。一気に切れる脚を使うタイプじゃないが、この馬の力は出せた」。テン乗りで責任を果たした内田博は今年5度目の重賞Vに笑みがこぼれる。 「いつかは勝つと思っていたけど、2着ばっかりで…。勝ってくれてホッとしました」と音無調教師も胸を撫で下ろす。「直線ですっと外に出せたのが勝因。内田君が乗れるというので、次は府中牝馬S(10月18日、東京、GIII、芝1800メートル)に行く」と明言した。 京成杯AHを含め土日で4勝を上乗せしてJRA96勝で全国リーディングトップを快走する内田博。今夏の英・シャーガーC遠征時にムチの使用に関して開催日4日の騎乗停止処分を受けた。「それをどうこう言っても仕方ない。競馬に乗っていれば、それも付きものだから。きょうも3つ勝てて(秋競馬の)いいスタートが切れた」と本人は全てをポジティブに受け止めている。 昨年(123勝)に続くJRA年間100勝達成も目前。秋競馬の開幕重賞を制覇した男は、アクセル全開でこれからも突っ走る。(片岡良典)