第45回
関屋記念(8日、新潟11R、GIII、3歳上オープン国際、別定、芝・外1600メートル、1着本賞金4000万円=出走18頭)
北村宏司騎乗の6番人気
レッツゴーキリシマが、1000メートル通過59秒7のスローペースに持ち込んで逃げ切り勝ち。念願の重賞初Vを飾った。タイム1分32秒9(良)。開業5年目の
天間昭一調教師(45)=美浦=も重賞初V。2歳時にGI
朝日杯FSで2着などの実績馬が、脚部不安を乗り越え8カ月半ぶりの実戦でタイトルを奪取。5歳夏に、再びGIを狙う足がかりをつかんだ。
日本一長い658・7メートルの直線も、先頭のまま駆け抜けた。越後の夏空にとどろく雷鳴をBGMにして、8カ月半のブランクを克服した6番人気の5歳牡馬
レッツゴーキリシマが鮮やかな逃げ切り。重賞初Vを飾った。
「パドックでもリラックスしていたし、いい感じでハナを切れればいいなと思っていました」
殊勲の
北村宏司騎手が笑顔で汗をぬぐった。外めの〔8〕枠(16)番からジワッと先頭に立つ、思い描いたとおりのレース運びだった。1000メートル通過59秒7のマイペースに持ち込み、上がり3ハロン33秒2でまとめられては、後続はなすすべがない。
セイクリッドバレーが32秒1という極限の末脚で追い込んできたが、半馬身先にゴールへ飛び込んだ。
「リズム良く走れましたね。今回は休み明けだったけど、以前に乗ったときは僕が骨折で復帰したばかり。またいい競馬ができるといいですね」
北村宏は08年5月の落馬で左前腕部骨折の重傷を負い、4カ月間も騎乗できなかったが、復帰翌日の
京成杯AHでキリシマに騎乗して2着に好走。思い出深いパートナーとのコンビで、今度はVをつかんだ。
しかし、キリシマにとってここまでの道のりは本当に長かった。07年
朝日杯FS2着など、早くから素質を証明してきたが、重賞はなかなか勝てず、09年夏には栗東の
梅田康雄厩舎から美浦の
天間昭一厩舎に転厩。脚部不安を抱えるこの馬を、天間師はじっくりと仕上げ、最終追い切りは自ら手綱を取り感触を確かめ、勝利へと導いた。元騎手だった天間師にとっては、騎手時代も含めてうれしい重賞初V。その興奮は冷めやらない。
「マイル戦にこだわって、ここを目標に仕上げてきました。転厩してきた馬で結果を出せたことは本当にうれしい」
脚元と相談しながらになるが、今後もマイル戦にこだわって
京成杯AH(9月12日、中山、GIII、芝1600メートル)などを視野に入れ、
マイルCS(11月21日、京都、GI、芝1600メートル)が秋の最大目標となる。
重賞タイトルを手にして、今度はGIを目指すキリシマ。マイル路線で大噴火の秋へ、ひたすら逃げ切ってみせる。(柴田章利)