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1番人気に支持されたイクイノックスが、中団から3コーナー過ぎに一気に進出し、最後は2着馬を2馬身半突き放した。天皇賞・秋に続くGⅠ連勝で、来年は海外遠征も視野に入る。クリストフ・ルメール騎手(43)=栗・フリー=はクリスマス当日の有馬記念で4戦3勝。2着にラスト有馬となる福永騎乗の6番人気ボルドグフーシュ、3着はエリザベス女王杯馬ジェラルディーナが入った。
冬の柔らかい西日を浴びて、1頭だけ他馬とは違う勢いで加速していった。暮れの中山に戻ってきた約4万人の観衆から驚きの歓声が上がった。強い、あまりにも強すぎる。1番人気の3歳馬イクイノックスが2馬身半差をつける完勝。2017年に勝った父キタサンブラックとの父子制覇を達成した。
クリスマス・グランプリで4戦3勝とした〝ルメール・サンタ〟は何度もガッツポーズを作って喜びを爆発させた。
「みなさん、メリークリスマス! ブラボー、ブラボー、ブラボー!!」
好スタートから中団を確保したが、2コーナーを回るあたりでハミをかんで掛かり気味に。「皐月賞(2着)でも掛かって疲れてしまった。ゴールまで行けるか心配しました」。しかし、秘めたエネルギーは想像をはるかに超えていた。馬なりで4コーナーを回って先頭に立つと、あとは後続を突き放す一方。「直線を向くときに息が入って、強い脚を使ってくれました。楽勝でした。スーパーホースに見えましたね」と鞍上は賛辞を惜しまなかった。
天皇賞・秋に続いて、史上最少のデビュー6戦目で有馬V。「決して簡単ではないが、簡単に勝ってしまう。調整で苦労したのが、終わってみれば何だったのかと思ってしまうくらい。こんな馬は管理したことがないですね」。木村調教師も常々「天才少年」と称賛してきた愛馬の走りに改めて驚かされた。2歳時の初入厩時に「素晴らしいストライドで、こんなフットワークをする馬がいるのかと思った」とほれ込んだ大器。体質的な弱さはあったが、休養を取って大事に育ててきたことが大成につながった。さらなる成長が見込めるが、トレーナーは「そうなるとボクの身がもたないので困ってしまいます」と笑わせた。
春2冠こそともに2着と涙をのんだが、秋はGⅠ連破。同じく今年GⅠ2勝のタイトルホルダーを下しての勝利で、年度代表馬争いの最有力候補に躍り出た。もはや国内に敵はいない。来年のターゲットは海外へと向けられる。指揮官は「あくまで個人的な意見」と前置きしたうえで、「海外に行って世界のホースマンに見ていただく価値のある馬だと思います」と世界への挑戦を熱望。ルメール騎手も「強い馬だからどこへでも行けます」と太鼓判を押した。
「昼と夜の長さがほぼ等しくなるとき」を意味するイクイノックス。だがその将来は長く明るい希望の光に満ちている。
◆表彰式でプレゼンターを務めた長澤まさみ「サラブレッドにとって、夢の舞台とも言える有馬記念。エリザベス女王杯に続いてプレゼンターを務めさせていただき、大変光栄でした。馬券はジェラルディーナの単勝で勝負し、的中とはなりませんでしたが、見ごたえのあるレースに感動しました」
■イクイノックス 父キタサンブラック、母シャトーブランシュ、母の父キングヘイロー。青鹿毛の牡3歳。美浦・木村哲也厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲シルクレーシング。戦績6戦4勝。獲得賞金8億660万2000円。重賞は2021年GⅡ東京スポーツ杯2歳S、22年天皇賞・秋に次いで3勝目。有馬記念は木村哲也調教師が初勝利。クリストフ・ルメール騎手は05年ハーツクライ、16年サトノダイヤモンドに次いで3勝目。馬名は「昼と夜の長さがほぼ等しくなる時」
≪アラカルト≫
◆キタサンブラック産駒 初出走で勝利。JRA・GⅠは通算2勝目。JRA重賞は5勝目。
◆3歳馬の勝利 昨年のエフフォーリアに続き21頭目。3歳馬が同一年の天皇賞・秋と有馬記念を制するのは、昨年に続く3頭目(他に2002年シンボリクリスエス)。
◆3歳馬のワンツー 1994年(1着ナリタブライアン、2着ヒシアマゾン)以来4回目。
◆C・ルメール騎手 JRA・GⅠは通算43勝目。JRA重賞は129勝目。
◆木村哲也調教師 JRA・GⅠは通算4勝目。JRA重賞は20勝目。
◆馬主…(有)シルクレーシング JRA・GⅠは通算19勝目。JRA重賞は90勝目。
◆生産者…ノーザンファーム 18年(ブラストワンピース)から5年連続の8勝目。JRA・GⅠは通算184勝目(他にJ・GⅠを3勝)。JRA重賞は760勝目。
◆関東馬の勝利 昨年に続き37回目。関西馬30勝。
◆牡馬の勝利 昨年に続き通算60勝目。
◆❺枠の勝利 20年(クロノジェネシス)から3年連続の13勝目で、枠番別の最多勝利数。
◆馬番⑨の勝利 20年以来の6勝目。
◆単勝1番人気の勝利 20年から3年連続の26勝目。
◆ファン投票3位の馬の勝利 96年のサクラローレル以来の3回目。
◆売り上げ、入場者数 有馬記念の売り上げは521億5504万6600円で前年比106・2%。入場者数は3万9670人(うち有料入場3万7966人)で同646・1%だった。
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