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トライアルの神戸新聞杯を快勝したイコピコが、勢いに乗って牡馬クラシック最後の1冠奪取に挑む。父マンハッタンカフェは夏の札幌で連勝し、セントライト記念4着を経て菊花賞をV。父と同様に春の2冠は出走できなかったが、しっかりと譲り受けた成長力を武器に父子制覇を狙う。
秋華賞を制したレッドディザイアに続き、今週もマンハッタンカフェ産駒&四位洋文騎手が、淀の舞台で大輪を咲かせてみせる。7番人気の伏兵ながら直線で堂々と突き抜けて、神戸新聞杯をコースレコードで快勝したイコピコが、さらに調子を上げて菊花賞制覇に挑む。3歳夏から秋にかけて大きく成長、菊のタイトルを手にした父と同様に、秋を迎えて確かな力をつけた。春の既成勢力を撃破した前走の内容から、最後の1冠奪取が現実味を帯びてきている。
「強かったですね」。初騎乗の四位は頬を紅潮させていた。「前半で前が飛ばしてくれたので折り合いがつき、理想的なレースができた」とは言うが、逃げるリーチザクラウン、そしてセイウンワンダー、アンライバルドらの実績馬を、上がり3ハロン33秒7の鬼脚でまとめて差し切った内容は、圧巻のひと言だった。
未勝利馬の時から、栗東の坂路で4ハロン50秒台を楽々とマークしていた素質の持ち主。西園正都調教師の弟弟子で、今年3月の未勝利Vの手綱を取り、その後も調教をつけている酒井学騎手は「休ませて帰ってくる度に、馬がどんどんとよくなった。能力の高い馬とは、こういうものなんだと思いました」と証言する。「以前はムキになる面がありましたが、前走の調教の時は前半でフワッと行って、行くよ、とサインを出したらすぐに反応してくれた。折り合いがつくようになったので、かなり楽しみにしていたんです」とフロックの勝利ではないことを熱弁した。
先週14日の1週前追い切りは、坂路ラスト1ハロンで軽く追い出されると、攻め駆けする外のエイシンタイガー(牡3オープン)を瞬時に5馬身以上も突き放した。4ハロン52秒6の時計以上に俊敏な動きで「しっかり反応してくれた。体に柔らかみも出ています」と酒井はさらなる上昇を伝えた。
「何とか秋に間に合いました。掛からないので距離が延びても大丈夫だと思う」と西園師も意気込む。西園師が二分久男厩舎で技術調教師を務めていた97年、マチカネフクキタルが4連勝で一気に菊制覇を成し遂げた。その二分師の弟子が酒井で、あの頃と同じような背景、勢いが漂っている。ハワイの言葉で、『頂点に』を意味するイコピコが、その名の通りにここで3歳牡馬のトップに立ってみせる。(下村静史)
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