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第55回有馬記念(26日、中山10R、GI、3歳上オープン国際、定量、芝・内2500メートル、1着本賞金1億8000万円=出走15頭)単勝オッズ1・7倍の圧倒的1番人気に推されたブエナビスタは、ヴィクトワールピサにわずか2センチ及ばず、ハナ差の2着。それでも、直線で猛烈な末脚を駆使。勝負には敗れたが、史上最強の牝馬と呼ぶにふさわしい走りを見せた。ブエナビスタの栄光への旅は、まだまだ続く。今年と同様にドバイ国際競走を目標にする来春、再びファンに感動を与えるパフォーマンスを見せる。
ブエナビスタの豪脚がヴィクトワールピサに襲いかかったゴール寸前。歓声が轟音のように鳴り響いた。勝ったのはどっちだ? ファンが固唾を呑んで待ちわびた写真判定の結果、わずか2センチの差で女傑は涙を飲んだ。
「最後は差し切るかというような脚を使ってくれた。見てくれたファンの方は分かってくれると思う。もう一回やれば、勝てるという力を証明できたことを…」
クリストフ・スミヨン騎手は無念の表情を浮かべた。前走のジャパンCは1位で入線しながら、走行妨害で2着に降着。それでも、08年優勝のダイワスカーレット(単勝オッズ2・6倍、単勝支持率32・8%)を抜き、同1・7倍、46・4%と、牝馬としては有馬史上最高の支持を受けた。その期待に応えられなかったことに悔いが残る。
道中は中団グループの後方。スローペースで馬群に包まれる形になり、思う位置が取れないままだったが、3~4コーナーでうまく外に持ち出すと、直線ではメンバー最速の3ハロン33秒8の脚を駆使。力は見せたが、わずかに届かなかった。
「中山では真ん中より前(の位置)にいないと勝てない。分かってはいたが、ブエナのテンションを上げないように、と思うと修正できなかった」とスミヨン。中盤で13秒台のラップが2度続くスローな流れで、後方で身動きが取れなかったことが明暗を分けた。
そのスミヨンとは対照的に、松田博資調教師は「きょうの負けはしょうがないだろう」と、サバサバとした表情。降着という後味の悪い結末だった前走と違い、負けたことに悔いはなかった。
「勝った馬はうまく乗っていた。枠順の差もあったし、4コーナーでワンテンポ仕掛けが遅れたのは、スミヨンも(前走の降着で)神経質になっていたんだろう」
昨年はドリームジャーニーの末脚に屈し、今年はヴィクトワールピサの粘りに負けた。それでもトレーナーはブエナの走りには満足の様子だ。
すでに来年3月26日にUAEドバイで行われるドバイシーマクラシック(メイダン、GI、芝2410メートル)、ドバイワールドC(GI、AW2000メートル)に登録。今後は世界制覇に乗り出す可能性が高い。2011年は、ブエナビスタはどんな夢をファンに見せてくれるのだろうか。(柴田章利)
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