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日本で一番直線が短い楕円コースの名古屋で行われる名古屋大賞典。先日行われた黒船賞が短距離路線の実績馬の始動戦ならば、こちらは中距離路線の始動戦となることが多く、かつてエスポワールシチーやワンダーアキュートが、ここから始動したこともありました。名古屋大賞典の前後にJRAではハンデ戦のマーチSが行われますが、特に今回が始動戦となる実績馬は、マーチSではハンデを背負わされることになるのを嫌って、ここへ出走してくることがとても多くなっています。
よって、例年の対戦図式は、主に休養明けの実績馬vs佐賀記念の上位馬となります。本来は休養明けの実績馬が優勢であっても不思議ないですが、このレースに関しては佐賀記念の上位馬が優勢。なぜなら佐賀記念の上位馬は、エスポワールシチーやワンダーアキュートのような強豪が出走してくれば、対戦を避けるようにして、より出走手当てが高いダイオライト記念やマーチSへと回り、強豪が出走してこなければ、積極的にここに出走してくることが多いからです。そのため佐賀記念の連対馬がここへ出走してくればかなり有力で、過去10年で【3・3・1・0】の複勝率100%を誇ります。今年の佐賀記念の連対馬はアウォーディーとの対戦を避けたようですが、さて、その主役アウォーディーがここで結果を出すことが出来るでしょうか? 今回は、そのヒントとなるデータをご紹介しましょう。
まず、このレースでは超小回りコースで行われるレースらしく、過去10年の連対馬20頭中18頭が逃げ、先行馬の押し切りです。差し馬で連対したのは、2008年メイショウトウコン(1着)、2014年のソリタリーキング(2着)のみ。メイショウトウコンは、それまでG2で1勝、G2で2勝の実績があり、同年のJBCクラシック3着、JCダート(現チャンピオンズC)2着と好戦したほどの馬。ソリタリーキングは、前年のJBCクラシックの3着馬で、交流重賞でも連対常連の馬でした。つまり、それくらいの実績馬でなければ、この舞台で差すのは容易ではありません。メイショウトウコンも前年のこのレースの勝ち馬であるアルドラゴンが2番手から粘り込みを図るところを、ゴール手前でギリギリ捕らえての勝利でしたし、ソリタリーキングも断然の1番人気を裏切る形での2着でした。基本的に差し馬は狙い下げるスタンスでいいでしょう。
逆に逃げ、先行馬で、実績がありさえすれば、この舞台での活躍は期待できます。まず、残る連対馬18頭中、14頭には直近1年以内にグレードレースで連対の実績がありました。例外は2007年の1着馬アルドラゴン、2着馬ムーンバレイ、2011年の2着馬ワンダーアキュート、2012年の2着馬ダイシンオレンジです。しかし、ワンダーアキュートもダイシンオレンジも前年度からトータル半年以上の休養をしていた馬で、もともとはダートグレードで2勝をあげた実績馬です。半年も休養しているような馬は、さらに半年まで成績を遡るスタンスでいいでしょう。特にダイシンオレンジは、このレースが休養明けの一戦で、直近の成績が悪かったために、JRA勢ではもっとも人気がない4番人気でしたが、立て直しに成功する形で2着に善戦しています。
残る2頭、2007年に3連単37万馬券のアドバルーンを打ち上げたアルドラゴン、ムーンバレイはどのような馬かというと、まず、この2頭は逃げ、先行馬でした。2007年は前年のJBCマイルの勝ち馬であり、前走のフェブラリーSで2着のブルーコンコルドを筆頭に、差し馬揃いの一戦となりました。サイレントディールは前々走の佐賀記念で逃げきり勝ちした馬で、下馬評でも逃げると目されていましたが、前走で距離2400mのダイオライト記念を出負けして後方からレースをした後では、逃げるのはなかなか難しい状況だったと言えるでしょう。実際にこのレースでは、そういう傾向に反することなく追い込みの形。よって、アルドラゴンとムーンバレイの先行力が生かされるレースになったのです。
アルドラゴンはマイル戦でも結果を出していましたが、前走でダ1200mを使われていた馬で、このレースでも楽に先行することが出来ました。ムーンバレイは前走で名古屋大賞典競走トライアルの梅見月杯を逃げて圧勝した馬で、このレースでも大外枠から内に切り込みながらわりと楽に逃げられました。確かにこのレースでは、アルドラゴンやムーンバレイが強かったというよりも、ブルーコンコルドの差し損ねが際立ったレースです。しかし、このときのブルーコンコルドは、フェブラリーSを大目標にした後の斤量59㎏では、勝てない要素も十分にあったはず。つまり、やや能力が劣る馬でも、この舞台では特に先行力さえあれば、一発の要素があります。前走で短距離戦を使われている馬や、前走で逃げ切り勝ちしている馬。今回で逃げると思われる馬は、侮らずに馬券に加えることをオススメします。
まとめるとこうなります!
●本命候補
・前走の佐賀記念で連対した馬。
・ダートグレードで連対実績のある逃げ、先行馬。
(前走の通過順位よりも、前走の前半3Fで先行できるかどうかを想定)
●穴馬候補
・近走成績が悪く、今回が休養明け初戦となる実績馬。
・前走で逃げている馬、または、今回で逃げると思われる馬。
・連勝中の地方馬。
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