霧
田口啄麻
豚ミンC
3歳馬によるダートGIII・レパードSが4日、新潟競馬場でフルゲート15頭で争われ、田辺騎乗の10番人気ハヤヤッコが後方から鋭く伸び、白毛馬初のJRA重賞制覇を成し遂げた。今後は未定だが、ダート路線が大いに盛り上がりそうだ。1番人気のデルマルーヴルがクビ差の2着だった。 大混戦のゴール前で、真っ白な馬体がグイッと抜け出した。10番人気のハヤヤッコが大激走。白毛馬では伯母のユキチャンが関東オークスなど地方の交流重賞を3勝しているが、JRA重賞では史上初。初コンビの田辺騎手が汗をぬぐいながら喜びを表した。 「白毛の馬にはなかなか乗る機会もないですし、騎乗できるだけでも光栄。勝たせてもらって、歴史的な瞬間を味わわせてもらいました」 テン乗りとは感じさせない立ち回りだ。ペースが速いと感じると、先行策プランを後方待機に変更。距離ロスを最小限に抑えて4コーナーを回り、末脚を引き出した。 「脚質に幅が出て、距離にも融通が利きそう」と伝えた田辺騎手はこの夏、ラジオN賞(ブレイキングドーン)、プロキオンS(アルクトス)、アイビスSD(ライオンボス)に続いて騎乗機会4連続重賞V。「あまり浮かれないように。いい馬に乗せてもらって勝てているのは、僕の自信にもなる」と声を弾ませた。 国枝調教師も「すごいね。かわいいし、これからは白毛を買おうかな」と“舌好調”。「暑い中でも順調に来られたし、馬ものんびりできたんじゃないか」と放牧先から新潟競馬場に直接入厩させた作戦もハマッたが「やっぱり金子さんはすごいよ」。馬主は7月30日に17歳で死んだ三冠馬ディープインパクトと同じ金子真人氏(円内、名義は金子真人ホールディングス(株))。オーナーは不在だったが“ディープインパクト追悼競走”と銘打たれた一戦で雲の上からの後押しがあったのか…。 不世出の大スターが天に旅立った週に現れた、『黒、青袖、黄鋸歯形』勝負服の異色の星。運命的なものを感じさせずにはいられない。 (板津雄志)★4日新潟11R「レパードS」の着順&払戻金はこちら★白毛 サラブレッドの毛色は8種類。その割合(2006~10年までの日本での5世代の統計)は鹿毛(44・1%)、栗毛(25・1%)、黒鹿毛(17・8%)、青鹿毛(5・6%)、芦毛(5・1%)、青毛(1・7%)、栃栗毛(0・6%)、白毛(ほぼ0%)で、白毛は最も割合が少ない。日本で一番新しく認定されたのが白毛で、1979年生まれの牡馬ハクタイユー(4戦0勝)だった。★白毛と芦毛の違い 一見、変わらないように見えるが、一般的に芦毛が徐々に白くなっていくのに対し、白毛は誕生時から白い。また、芦毛馬は両親のどちらかが芦毛でないと誕生しないが、白毛馬は両親の毛色に関係なく、突然変異的に生まれる。ハヤヤッコは祖母シラユキヒメが突然変異で白毛として生まれ、母マシュマロも白毛と遺伝している。ハヤヤッコ 父キングカメハメハ、母マシュマロ、母の父クロフネ。白毛の牡3歳。美浦・国枝栄厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は金子真人ホールディングス(株)。戦績9戦3勝。獲得賞金6183万9000円。重賞は初勝利。レパードSは国枝栄調教師、田辺裕信騎手ともに初勝利。馬名は「速くて白い」