2年5カ月をかけた本格的な大規模工事で休止していた京都競馬場が、22日にグランドオープンする。芝・ダートともに路盤を全面改修し、絶好の馬場コンディション。試走会に参加した関係者の証言などをもとに、リニューアル京都の特徴と馬券的な狙い目を探った。
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新緑のターフがまぶしい京都競馬場。2年5カ月におよぶスタンド改築に伴い、コースの路盤も改修されている。芝も全面的に張り替えられ、クッション性が改善するなど、絶好のコンディションだ。
3月30日の走行テストで騎乗した和田竜騎手は「カチカチの馬場という感じではなく、クッションが利いていましたね」と感触を口にする。路盤の工事に加えて、地下パイプの暗渠管(あんきょかん)を増設したことで水はけが良化。雨が降っても悪化しにくく、回復も早くなるようだ。
コースレイアウトに大きな変更点はないものの、多くのジョッキーから「回りづらい」という声を受け、外回りコースの4コーナーは内柵の位置を調整。直線に向かう角度が以前よりも緩やかになり、「より安全に回れるようになった」と評判も上々だ。勝負どころのカーブが曲がりやすくなれば、より能力が反映されやすい舞台になるかもしれない。
最後の直線は以前と変わらず平坦。藤岡康騎手は「すごくいい状態だと感じましたし、開幕週は他の競馬場と同様に、先行馬が優勢でしょうね。平坦ですし、よりスピードがある馬が活躍するんじゃないでしょうか。さばきが軽くて、フットワークのいい馬もいいと思います」というコメントも、馬券のヒントになりそう。絶好馬場の開幕週はやはり、ロスなく運べる内枠の逃げ・先行馬を狙うのがセオリーだ。
また、パドックの位置が変更されたことで、改修前より装鞍所とパドックの距離は約100メートル、パドックから馬場入りまでは約180メートル短縮。動線がスムーズになることで、渡辺調教師は「馬にも人にも、ストレスにならないんじゃないかな」とその効果を指摘。イレ込みやすい馬には、プラスに働くかもしれない。
総工費880億円。2025年に開設100周年を迎えることにちなみ、〝100年〟を意味する「センテニアル・パーク京都競馬場」という愛称になった新競馬場。待ちに待った開幕まであと3日。コースの特徴を頭に入れて、的中馬券をゲットしよう。
◆クッションの利いた馬場に…コースは形こそ大きく変わっていないが、芝、ダートともに全面的に路盤を改修した。芝は20センチの砕石層、30センチの山砂、20センチの改良材を含んだ砂の3つの層を入れ替え、その上に野芝を張り、さらにその上に洋芝(イタリアンライグラス)の種をまくオーバーシードを実施。芝張り完了後に馬場に穴をあけるエアレーション作業を行い、クッションの利いた馬場に仕上がった。
ダートは砕石層20センチ、山砂20センチの2層を入れ替え、もっとも上にある9センチのクッション砂を水で洗浄。砕けにくい粒が残った
◆最初の2週間は事前予約制…京都競馬場は22、23、29、30日の4日間は、事前にインターネットで指定席、または入場券を予約購入した人に限り入場できる。入場券の当日現金発売は行わない。詳細はJRAホームページで。
◆JRA・後藤正幸理事長「再来年には京都競馬場が開設100周年を迎えます。100周年を意味するセンテニアルという言葉を用い、パークには『競馬の枠を超えた誰でも気軽にお越しいただける公園のような場所になってほしい』との願いも込めています。新しいスタンドには一年を通じて多くのお客さまに楽しんでいただけるように、さまざまな工夫を施しております」
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武豊騎手「素晴らしいですね。世界に誇れる競馬場だと思います。スタンドも素晴らしいし、人にも馬にも優しい競馬場だと思います。動線もすごく良くなって現場の人間は動きやすくなったし、安全性も快適性も増しています。ぜひ見に来てもらいたいですね。これだけいい舞台を用意してもらって、あとはいいレースをするだけです。今からワクワクしています。楽しみです」