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ひと際目立つ芦毛が軽やかに登坂した。府中牝馬Sで1年5カ月ぶりの白星を挙げたホエールキャプチャが、美浦坂路の併せ馬で貫禄の1馬身先着。蛯名騎手が上々の感触を口にした。
「輸送があるからこれくらいの時計でいい。体にも気持ちにも張りを感じるし、順調に来ているのが何より」
僚馬ブランクヴァース(1000万下)を2、3馬身ほど追走。ラスト1ハロンを迎えてもまだ半馬身後ろだったが、鞍上が軽くゴーサインを送った程度で瞬時にギアを上げてインから抜き去った。4ハロン52秒9、ラスト1ハロン12秒4はこの馬にとって特筆すべきタイムではないが、時計以上のスピードを感じさせた。
GI初制覇を飾った昨春のヴィクトリアマイル後は、股関節の違和感で不振に陥ったが、今春のヴィクトリアマイルで2着に激走。前走の府中牝馬Sでは見事に完全復活を遂げた。「前走は今までで体が一番良く見えた。状態さえ良ければ、GIで上位に来られる馬」と田中清調教師はGI2勝目へ意欲を見せる。
今回は2冠牝馬メイショウマンボをはじめ、勢いのある3歳勢がいるが、「この馬も使ってよくなっているし、今は高いレベルで安定している。古馬になって落ち着きが出たし、前走もあのスローペースで折り合えたから距離も大丈夫だと思う」と蛯名騎手はパートナーに期待をかける。
苦境を乗り越えた白鯨が、熟練の走りで再び、牝馬の頂点に返り咲く。 (板津雄志)
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