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◇◎カナダが逃げ込み、○アイルランド
が強襲するというJCドラマ【復活30年
の愛】は、実演されることのない架空のシ
ナリオに終わった。あれだけ負けると話の
繋ぎようようもないが、競馬ならではのタ
ラ、レバをつまみに(実はすでに渋いアイ
リッシュウイスキーを飲っている)、まぼ
ろしのワンカット、ツーショットを記録し
ておこう。
◇愛のジョシュアツリーが加のフィフテ
ィープルーフ(父がウイスキー…でその息
子が「50度」というウオッカなみの馬
名)を出し抜いて勝っていタラ、もちろん
愛(アイルランド)の天才・エイダンオブ
ライエンを直撃する。
ーおめでとうございます。私はあなたの
大ファンです。ブリーダーズカップで何度
もあなたの調教した馬が勝つのを見まし
た。馬券も儲けさせていただきました。ジ
ョシュア、ファンタスティック、すばらし
いetc.
◇(そのドサクサにまぎれて)ところで第
3回のウイナー、スタネーラもアイルラン
ドの馬でした。強烈な印象(ディープイン
パクト)を受けました。あの馬、いや馬を
引いていたライアンというグルームが、調
教師になったと聞きました。ご存じありま
せんか。消息を知りたいのですが…。
◇さらに、捕まえられレバ(レース後に
検量室前で話すことができた)
ーキャッシュ、Mr.アスムッセン(表彰式
の授賞者)、このハンチングと髭面、記憶
にありませんか。30年前、ファーストJ
Cをあなたがメアジードーツで勝ったと
き、そこの芝生で握手してインタビューし
た記者です。あのときのグルーム、名前は
忘れましたが、マフィアの殺し屋みたいで
かなり怖かったです(笑)。あなたは19
歳、私はちょっと年上(笑&ウインク)、
ともに紅顔の美少年でした(爆笑=今の2
人の顔を見てくれよ)…。
◇幻想(空想)が現実を変え、その現実
からまた新たな幻想が生まれる。と、寺山
修司は書いた。しかしコトはそうカンタン
にはいかない。30年前の現実を再現すべ
く幻想した現実は、なんとも現実離れした
現実になっていた。幻想の仕方が悪かっ
た、想像力が乏しかった? そう言われれ
ばグウの音も出ないが、30年をタイムス
リップさせる非現実的な予想なんて、幻
想、空想の救けを借りずにできるものでは
ない。幻想が悪いのではなく、現実、結果
が間違っていただけ…では、ないか。あの
どうしょうもない結果(降着)が現実にな
ったときの不快感、後味の悪さこそが今の
「日本の現実」だとするならば、それをも
予想する幻想があってしかるべきだった。
おっしゃる通り、力不足を認めざるをえな
い。が、ひとつだけ。
◇JRAのジャッジを罵倒したスミヨ
ンさん、自惚れもはなはだしい。ブエナ
ビスタはエリザベス女王杯でも同じ過ち
(斜行)を犯している。いわば、いわくつき
のバツイチ女だ。それを知らないはずも
ない。そうしたイザコザのあった灰汁、ク
セの強い女だからこそ、お鉢が回ってきたこ
とだって、承知していただろう。つまり、
あなたはそれだけウデ(じゃじゃ馬慣らし)を
見込まれていたのだ。にもかかわらず、バ
ツイチをバツ2にしてしまった。自分自身
のせいでなく、誰のせいだというのか。K
eep straight! 真っ直ぐ走ら
せなさい! それが名手のお仕事ではござ
いませんか?
◇前にも書いたが、安勝にはブエナビス
タに対するホースマンのというより人間愛
が感じられた。ビスタの本質を知り、それ
を阻害することなく最大限に生かし切るに
はどうすればよいか、という愛が読み取れ
た。強い個性、自己主張を抑えきれない女
の扱い方を知っていたかどうかはわからな
いが、キレやすい(斜行癖もふくめて)気
質をカバーするために、馬込みに入れずに
縁を切った極端な戦法を選んでいた(に違
いない)。それでもエリザベス女王杯での
ハプニングに遭遇し、さらに徹底した待機
策を講じた(に違いない)。そういう理解
ある男から引き離された要因は、言わずも
がなブエナビスタ自身にあった。強すぎる
がゆえの自負、自尊が驕りに高じてしまう
のか、生まれながらに負わされた血の宿命
なのか。このテーマ(SSがもたらした日
本馬の強さとブエナビスタに宿る狂気、
心・技・体の問題)については有馬記念で
じっくり追究させてもらうつもりだ。が、か
なり、酔いが回ってきたし、そろそろゴール
も見えてきた。振り出しに戻って、第一回J
Cを持ち去ったメアジードーツの「愛人」を
暴露してグラスを置きたい。
◇藤野広一郎さんはパドック(の中)か
ら必死で人(顔見知り)を探した。密かに
馬券を買ってもらうために(JRAの嘱託
ではおおっぴらには買えない)。
何を買うつもりだったんですか?
それは…メアジードーツの単勝!
だって、嫌い、ダメのはずじゃあ?
そうなんだよ。成田で出迎えたとき、あ
いつ(メアジーの厩務員)、何て言った
と思う。女、女はどこだ!ですよ。あの
マッチョの、プエルトリコ系の凶相の、
マフィアの殺し屋みたいな男、しかも片
目が義眼。それがいきなり女!女!です
から。こんなやつが世話してる馬、走る
わけない!でしょう。
◇ここだけの話(と言ってもすでに時効
かな)だが、そのマッチョのしつこい要
望に抗しきれず、ムッシュ・ウジノと担
当職員(も同行したかどうかは記憶にな
いが)は吉原に連れて行ってソープに放
り込んだそうだ。驚くなかれ、その隻眼
のクソッタレは「オマエ(JRA)が払
え!」と当然のごとく言い放った。払っ
たかどうかも記憶にはないが…。
◇それほど、虫酸が走るほどの男の馬を
なぜ、突然に?
いやあ、まいりましたね、あの姿には。
しなやかな鹿毛の、小柄でかわいい女の
子(メアジー)が、マッチョに寄り添っ
て太い腕に首を預けるように甘えながら
歩いているんですよ。楽しげに、 嬉し
げに、幸せそうに。うわあ~、やられた
ぁ~!!
◇それは、ムッシュの感性による直感に
ちがいなかった。ジャン・コクトーが映
画にもしたLa Belle et la
Bete=美女と野獣の物語。仏文科出身
の文学者にして料理人、かつウマニスト
(Humanist)の鋭い感性(相馬眼)と
ともに、碧眼の馬と人に酔しれた昔日をつ
い数週間前の出来事のように幻想してしまう。
なぜだろう。 そりゃあ、やっぱり、酒、ウ
イスキー、フィフティプルーフの祟りだやな。
ちげえねえ。んだども灰皿のボコボコテキ
ーラでなく、50度のアイリッシュでいが
った。しかも厩(うまや)でなく我が家で。
◇というわけでNG、いやさGN(グンナ
~ーイ)、おやすみなさいませ。まてよ朝か?
もとい、G~M! 了
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