坂井瑠星(26)=栗・矢作=騎乗で6番人気の
マッドクールが好位追走から直線で鋭く伸び、GⅠ初制覇。昨年の
スプリンターズS2着のリベンジを果たした。今後は招待の届いている香港GⅠ
チェアマンズスプリントプライズ(4月28日、シャティン、芝1200メートル)を視野に入れる。2着に2番人気
ナムラクレア、3着に5番人気の香港馬
ビクターザウィナーが入った。
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春雨煙る尾張で、新時代の到来を高らかに告げた。絶対王者不在のスプリント路線に
マッドクールが断。インから鋭く伸びて
ナムラクレアの猛追をしのぎ、GⅠ初制覇。坂井騎手が胸を張った。
「最後は(
ナムラクレアが)すごい勢いで迫ってきていたので、わかりませんでしたが、なんとか勝ててよかったです。馬をたたえたいです」
好スタートを決め、逃げた
ビクターザウィナーの直後に。「勝つならハナ(を行く馬)の後ろ」という思惑通りのポジションを確保した、直線は渋った馬場を嫌って外へ行く各馬を尻目に、内ラチ沿いでスパート。ラスト1ハロン手前で抜け出し、最後まで脚色は衰えなかった。2着との差こそアタマだが、3着には3馬身差。完勝だった。
昨秋はGⅠ初挑戦だった
スプリンターズSでハナ差2着。「コンビを組めなくてもおかしくない状況。結果で応えるしかないと思っていました」と香港遠征を挟み、再コンビでVをつかんだ。2年越しの〝約束〟も果たした。3歳5月の未勝利戦勝ち直後、陣営に「高松宮記念に行きましょう」と宣言。行くのはもちろん、頂点まで駆け上がった。
前走の
香港スプリントは初の海外遠征で馬体重を10キロ減らし、8着。今回は18キロ増で自己最高540キロでの出走だった。池添調教師は「ボリュームアップして入厩してきました。締まってあの体重でしたし、想定内」とうなずく。右前の膝に弱さを抱え、3歳1月とデビューも遅かったが、大事に育ててきた大器が、5歳でついに花開いた。
ジョッキーが「まだまだ伸びしろはあると思います」と話せば、トレーナーも「脚元の不安も取れれば、さらに強くなると思う」とさらなる成長を見込む。今後は「状態を見ながらですが、香港(チェマンズスプリントプライズ)の招待が届いているので、オーナーサイドと相談して決めたい」と師。春の短距離王に輝き、再び海外へ。絶対王者への道を歩む。(山口大輝)
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マッドクール 父ダークエンジェル、母マッドアバウトユー、母の父インディアンリッジ。芦毛の牡5歳。栗東・
池添学厩舎所属。愛国産。馬主は㈲サンデーレーシング。戦績12戦6勝(うち海外1戦0勝)。獲得賞金3億3346万6000円(全て国内)。重賞は初勝利。高松宮記念は
坂井瑠星騎手、
池添学調教師ともに初勝利。馬名は「マドリードで毎年夏に開催される音楽フェスティバル」。
★アラカルト
◆
坂井瑠星騎手 初騎乗で勝利。JRA・GⅠは2023年
チャンピオンズC(
レモンポップ)以来で通算5勝目。重賞は23日の
毎日杯(
メイショウタバル)と2日連続Vで今年3勝目。通算17勝目。
◆
池添学調教師 2頭目の出走で初勝利。JRA・GⅠは22年
ホープフルS(
ドゥラエレーデ)以来で通算2勝目。重賞は
京都記念(
プラダリア)以来で今年2勝目。通算12勝目。
◆ダークエンジェル産駒 本年出走の2頭が初出走で勝利。JRA・GⅠは延べ4頭目、重賞は延べ10頭目の出走で初勝利。
◆馬主・㈲サンデーレーシング 延べ12頭目の出走で初勝利。JRA・GⅠは23年
ホープフルS(
レガレイラ)以来で19年連続76勝目。重賞は今年2勝目で通算240勝目。
◆外国産馬の勝利 20年
モズスーパーフレア以来4年ぶり7回目。
◆単勝6番人気の勝利 1997年
シンコウキング以来27年ぶり2回目。
◆馬番②の勝利 22年
ナランフレグ以来2年ぶり2回目。
◆関西馬の勝利 23年
ファストフォースに続く2年連続20回目。
◆最高体重優勝 馬体重540キロは、15年エアロヴェロシティの524キロを抜く最高馬体重勝利。
★入場&売り上げ
高松宮記念の入場者数は2万8381人で前年度比134・3%。売り上げは159億1061万5800円で同105・5%だった。