第14回
ファンタジーS(8日、京都11R、GIII、2歳牝馬オープン、馬齢、芝・外1400メートル、1着本賞金3000万円=出走16頭)
川田将雅騎乗の8番人気タガノエリザベートが、メンバー最速の上がり3ハロン33秒5と次元の違う末脚で15頭ゴボウ抜きの圧勝。1分21秒2(良)。同じ
松田博資厩舎の
ブエナビスタに続く
阪神JF制覇に期待がふくらんだ。2着が
ベストクルーズで、“マツパク”厩舎のワンツー。デビュー連勝中でダントツ人気の
ラナンキュラスは4着に敗れた。
ブエナビスタを彷彿とさせる次元の違う末脚を繰り出し、タガノエリザベートが2歳女王へ一歩近づいた。
圧巻Vの背景には、2走前のききょうS(5着)の教訓があった。大外枠((16)番)から好位を取りにいったことで、折り合い面に不安を残すようになっていた。初騎乗の
川田将雅騎手は、
松田博資調教師からの「折り合いに専念」の指示を守りレースを進めた。位置取りは最後方だったが、馬とのリズムは完璧だった。
「直線を向いた時に抜群の手応え。同じ厩舎の
ベストクルーズがいい伸びを見せていたので競り落とすのに時間はかかりましたが、捕まえられると思っていました」
メンバー最速の上がり3ハロン33秒5の末脚を発揮し、399メートルの直線だけで15頭をゴボウ抜き。2度目の挑戦で重賞制覇を成し遂げた。
「これから成長してさらに良くなってきそうですね」と川田は素質に惚れ込む。管理馬でワンツーを決めた松田博師は「まともに走ってくれば、このくらいはできる馬。それにしても最後はいい脚を使ってくれたし、距離は延びた方がいいな」と笑みが浮かぶ。次走は
阪神JF(12月13日、阪神、GI、芝1600メートル)が濃厚。「まだまだこれから強い馬が出てくる。でも、賞金を加算できて使いたいところに使えるのは良かった」と昨年は
ブエナビスタが抽選対象だったことを引き合いに出し、重賞制覇の意味の大きさを実感する。
今週はブエナが雪辱を期して
エリザベス女王杯に出走。GI4勝目を狙った
秋華賞は2位入線→3着降着と後味の悪い競馬だったが、
ファンタジーSで嫌な流れを断ち切った。世代を代表する強い先輩に続くよう、同じ
スペシャルウィーク産駒が頂点を目指す。(高尾幸司)