「No less than 1000yen」と言ったら1000円ピッタリを指すが、その訳は「1000円も」。
つまりHe has no less than 1000yen. と言えば「彼は1000円も持っている」と訳す。
「No more than 1000yen」と言ったらこれも1000円ピッタリを指すが、その訳は「1000円しか」。
つまりHe has no more than 1000yen. と言えば「彼は1000円しか持っていない」と訳す。
「Not less than 1000yen」と言ったら1000円以上を指し、その訳は「少なくとも1000円」。
つまりHe has not less than 1000 yen. と言えば「彼は少なくとも1000円持っている」と訳す。
「Not more than 1000 yen」と言ったら1000円以下を指し、その訳は「せいぜい1000円」。
つまりHe has not more than 1000 yen. と言えば「彼はせいぜい1000円しか持っていない」と訳す。例文に使う金額がショボいことから容易に想像がつくだろうが、私はいつでも I have not more than 1000 yen. であることは言うまでもない(笑)。
lessはlittle(数えられないものが“少し”)の比較級で、「より少ない」。moreはmany(数えられるものが“多い”)、much(数えられないものが“多い”)両方の比較級で「より多い」。
因みにlittleもfewも共に「少ない」を表すが、どちらも“a”を前につけると(a few, a little)「少しはある」という肯定的な訳し方となり“a”をつけずに単独で使うと「ほとんどない」という否定的な訳し方となる。
いずれも大学受験を目指す受験生以外は全く覚える必要のない表現だが(笑)、たったの一文字、たったの一語の差で大きく意味が異なってしまう言葉の良い例で、そのわずかな差が人間社会では人生を大きく変えてしまう局面も存在したりする。
例によって長い前置きになったが、この“ちょっとの差”絡みの格言を持つレースが、今週メインの
愛知杯なのだから致し方あるまい。紹介しよう。
曰く「
愛知杯はあと少しでクラシックに乗れなかった馬を狙え」。
クラシックロードに乗れなかった馬の活躍が多い重賞と言えば阪神芝2000mの
チャレンジC(「
チャレンジCは残念クラシック組を狙え」)があるが、
愛知杯も性格的には良く似たレースで、違いはこちらが牝馬限定のハンデ戦ということぐらいだ。
たとえば、昨年の勝ち馬
ルビーカサブランカはデビュー戦を華々しく飾ったものの、オープンの壁にぶち当たり、忘れな草賞8着の後は条件戦に回り、3歳クラシック戦線には顔を出せなかった。また一昨年2着の
ランブリングアレーも新馬勝ち後に2戦し、岐路となった忘れな草賞4着を境に条件戦に回され、以降はコツコツと自力を蓄えのし上がってきた。
登録馬の中で雰囲気があるのは
マリアエレーナ1頭。昨年の2着馬だけに今年は人気になりそうだが、
シンザン記念7着を境に条件戦に回り、そこからコツコツと賞金を重ねて這い上がってきた戦績はまさに
愛知杯好走にピッタリのイメージで、今年も調子落ちはなさそうなだけに積極的に狙いたいところ。唯一の不安は華奢な馬格に背負わされる斤量だけだが、それとて56kgまでならば何とかなりそうだ。 コツコツ地道に蓄えた力で、Not less than 3着の走りをお願いしたい(笑)。
(文:のら~り)