平地と障害の両方で活躍する
柴田大知騎手(34)=美・フリー=が今週末、偉業に挑む。土曜のJ・GI
中山グランドジャンプを
マジェスティバイオに、日曜のGI
皐月賞を
コスモオオゾラに騎乗。ともに有力馬で、土日で障害と平地の両GIを勝てば、JRA史上初の快挙となる。
週末の2大ビッグレースに向けて柴田大は、心地よい緊張感を楽しんでいる。
「平地と障害のGIレースに有力馬で挑戦できるのはうれしいし、騎手冥利に尽きますね」
牡馬クラシック初挑戦となる
皐月賞は弥生賞勝ちの
コスモオオゾラで参戦。前走はスムーズなレース運びで直線力強く抜け出して1997年ラジオたんぱ賞(
エアガッツ)以来、14年8カ月ぶりとなる平地重賞勝利だった。
「木曜も角馬場で乗ったが、不安は何もない。普段はおとなしいけど、返し馬でグッと気合が入る。相手が強くなるし、瞬発力勝負だと辛いので、好位から早めの競馬を心がけたい」と積極的な騎乗で平地GI初制覇を狙う。
前日の
中山グランドジャンプは、昨年の
マイネルネオスに続き、
マジェスティバイオで連覇に挑む。前走の
ペガサスJSでは力の違いを見せつけ、この中間も順調そのもの。
「前走は道悪で63キロと
タフな条件でも、サラッと勝ってくれた。今回はメンバーも強くなるが、飛越には心配がないので自信を持っていきたい」と昨年の最優秀障害馬の力を信頼している。
弟の未崎とともにJRA史上初の双子騎手として96年にデビュー。
福永祐一らと同期で初年度は27勝で関東新人騎手賞を受賞し、2年目には重賞初制覇。順風満帆だったが、徐々に騎乗数が減り表舞台に出るどころか、06、07年は未勝利。辛い時期を過ごしたが、「騎手を辞めたくない」という一心で、はい上がってきた。
「土日でGIに乗れるのは幸せだし、悔いが残らないように精いっぱい頑張って競馬をしたい」。どん底を味わったからこそ、大舞台に立てる喜びは誰よりも強い。JRA史上でも数少ない、3歳クラシック&障害の両GI奪取。2日間のひのき舞台で、
柴田大知が最高のパフォーマンスを見せる。 (片岡良典)