あーぃ、イナリワンす。名馬のつぶやき?に出てるっす。名馬…なんすかね?わかんねっす(笑)。みんなそう言うんならそうかも知んねっす。まぁ、せっかく呼ばれたんで今日は自分の話でもしてみっかな…って。 デビュー?デビュー…。えぇと、1986年す。あの…「鮮烈なデビュー」とか「伝説の始まり」みたいんじゃねっす、全然。大井競馬場ってね、子どもの砂場みたいな小せぇ競馬場。外なんか走った日にゃブン回されて…。自分結構デビューから外枠多かったすけど…負けりゃ馬肉っつーことで必死に走って(笑)。 8連勝…すか?…あぁそう?そんなに勝った?。まぁでも地方すからね。8連勝っても。周りみんな弱ぇすから(笑)。 14戦…くらい走ったかな?大井で。んで「おめぇ、そんなら中央行ってみっか?」って。 いやぁ、ビックリすよ、最初。芝生なんて見たことねぇんだもの、こっちは。負けたっすよ、気持ちよく。自分、決して脚は速くねっすけどバテねぇすよ。だから今度長ぇとこ走っか?って。そんで出たっす、天皇賞(春)。 そうなんす(笑)。自分コレ勝ったっす。バテないって言ったっしょ?4コーナー回ったらみんな周りゼェゼェ言ってんすけど、自分全然平気で(笑)。あと自分、大井の頃の癖で直線入ると内に潜りたくなるっす。大井の直線は短ぇから…。そんで内を走ったら誰も来なくて(笑)。 いきなりGⅠ馬ですからね。誰がびっくりって自分が一番ビックリっすよ。とにかく馬肉にはならずに済んだって喜んで。あと他にもいくつかG1勝ってるすけど…2つ?全部で3つ?勝ったけど、どれも距離長ぇす(笑)。 覚えてるレース?何だろ?一番?一番ね…。ヤッパリあれかな?有馬記念。 いやぁ、みんな速くてさ(笑)。ダイナカーペンターってのがね、これがピャーって飛び出して行って。あとなんだ?俺と一緒の地方出身の…アレ、オグリキャップね。これが1番人気。これもシューッと行ってさ。あと誰だ?あの菊花賞勝ったヤツ。それそれ、スーパークリーク?そんな名前だっけ?あいつ。 みんな速いの、とにかく。自分はもうホント、ケツからやっとくっついてってね。よくいるでしょ?暴走族の一番後ろから追っかけてくパトカー(笑)。もうあれね。んで、2周目3コーナーくらいからみんな疲れてくるっすよ。 そこからが自分の出番ね。ゆっくり上がって。で例によって内に潜って。4コーナーで一応オグリがダイナを躱したかな?確か。でももう彼もいっぱいいっぱいなのよ、結局。で、こりゃ行けっかな?って。でも前見たらまだ一人元気なのがいるじゃない?スーパークリークね。このスーパークリークがまたバテねっすよ(笑)。そんで自分と同じく内を走りたがるもんだから前でなかなか邪魔なの。 で、どっちもバテないもんだから今度はじゃあどっちが切れんだ?みたいな話になってね。たまたまやっこさんより自分のほうが切れ味?あったんだね。ホントたまたまね。そんで残り100mくらい?で並んでさ。並ぶと馬っつーのは外の方が強いのよ。なんでか知んねぇけど。んでグイッとね。もう一頭、実は外からものすごい脚で来てたんだわ。サクラ…ホクトオー?あ、それ。それも来たけど自分の方が早く前に出たっつーことで早くゴール着いてね。ホントなら負けててもおかしくないくれぇ伸びて来てたっす。でもそれが3着。オグリは結局…5着?くらいに負かしたっすね。 スターが出たレースで一番バテなくて「結果勝った」つーことで認められた?まぁ、そんな感じっす。 強さ?何すかね、強さ…。自分の場合はただただバテないことすかね?まぁ、スーパースターに勝てば自分みたいなのでも名馬ってことっすね。あーぃ、これくらいで良いっすか?イナリワンっした。 イナリワン 父:ミルジョージ 母:テイトヤシマ 母父:ラークスパー 鹿毛 1984年生 通算成績:25戦12勝 主な勝ち鞍 天皇賞(春)、宝塚記念、有馬記念(G1) 主な産駒 シグナスヒーロー