UAEドバイのメイダン競馬場で25日、国際諸競走が行われ、日本馬は6レースに史上最多の27頭が参戦する。うち17頭がGⅠ馬(地方のJpnⅠ含む)というワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパン級豪華メンバーで、そのエースが
ドバイシーマクラシック(GⅠ、芝2410メートル)に挑むイクイノックス(美浦・
木村哲也厩舎、牡4歳)だ。昨年、3歳にしてJRA賞年度代表馬に輝いた若き天才の海外デビュー戦は、世界中の注目の的となる。
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いよいよ世界に実力を示すときが来た。中東・ドバイに乗り込んだ史上最多27頭の日本馬の中で、大きな注目を浴びるのはやはり昨年の年度代表馬イクイノックスだ。競馬版侍ジャパンのエースとして挑む一戦に鞍上・ルメールの心も躍る。
「イクイノックスは今後も(出走レースは)GⅠがメインになってくると思うし、GⅠに100%の状態でいくことが大事だけど、彼は大きな可能性を秘めていると信じている」
昨秋の2戦の走りは主戦に大きな自信を与えた。特に2走前の
天皇賞・秋。上がり3ハロン32秒7の驚異の末脚で、大逃げを打ってはるか前にいた
パンサラッサをとらえた感触は今も残っている。
「
天皇賞・秋のときに熟成したと肌で感じた。最終コーナーからの追い上げは、他馬を抜きんでていた。だから
有馬記念も勝てる自信があったんだ」
皐月賞と
日本ダービーで2着に敗れたイクイノックスは、その悔しさをばねに春時点で足りなかった最後の勝負強さを身に付けていた。前走の
有馬記念も4コーナーひとまくりの力業で強力なライバルを完封。秋2戦の驚異的なパフォーマンスが評価され、JRA賞年度代表馬のタイトルも獲得した。
今回は日本を代表して挑む世界デビュー戦。木村調教師は「ファンの皆さんの期待が大きいのは分かっていますし、喜んでいただける結果を、という気持ちです」と語り、馬主・シルクレーシングの米本代表も「環境の変化やナイター競馬など初めての部分が多いので、まず自分との戦いに勝ってゲートインしてほしいです。メンバーは強いですが、自分の力を出せればいい勝負ができると信じています」と期待を寄せる。
イクイノックスのことを木村師は〝天才〟と表現したが、ルメール騎手も「同意します。
天皇賞・秋の勝ち方にはそれだけの特別感があった。4歳になったら、まだ記録(成績)を伸ばせると思っている」と信頼。自身も4日の夕刊フジ賞
オーシャンS(
ヴェントヴォーチェ)、11日の
中山牝馬S(
スルーセブンシーズ)、19日の
阪神大賞典(
ジャスティンパレス)と3週連続で重賞Vを決め、絶好調でドバイへと乗り込む。
22日に決勝を迎えるWBCの後も、目が離せない競馬の世界決戦。中東の夜空に日の丸を掲げるべく準備を整え、若き天才が海外のファン、関係者にも衝撃を与える走りを披露する。(板津雄志)
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◆主要ブックメーカーが1番人気…
ドバイシーマクラシックには10頭がエントリーした。英国の主要ブックメーカーは、そろって
イクイノックスを1番人気に支持しており、オッズも2倍前後と断然ムードだ。2番人気以下はサウジアラビアのネオムターフCを圧勝したモスターダフ、昨年のアイルランドダービー馬ウエストオーバーと続いている。他にも、昨年の覇者で一昨年の
日本ダービー馬
シャフリヤールや、昨年のBCターフ勝ち馬レベルスロマンスといった国内外のライバルは強力だが、注目度でも
イクイノックスが一歩リードしている。
◆
ドウデュースは「ターフ」に…
イクイノックスと同世代で、昨年の
日本ダービー馬
ドウデュース(栗東・
友道康夫厩舎、牡4歳)は、
ドバイターフに参戦。今年初戦の
京都記念を3馬身半差で快勝し、遠征に弾みをつけた。友道調教師は「前走の勝ち方も強かったですし、不安なく挑むことができると思います。前回のような走りができれば、十分チャンスがあると思います」と期待を寄せる。
◆GⅠ4競走馬券発売…JRAはドバイ国際競走のうち、GⅠの
ドバイゴールデンシャヒーン、
ドバイターフ、
ドバイシーマクラシック、
ドバイワールドカップの4レースの馬券を、インターネット投票(即PAT、A―PAT)およびUMACA投票で発売する。詳細はJRAホームページまで。