スガダイ
世紀末覇者 券王
父の日に父のリベンジだ。函館スプリントSが21日、函館競馬場で16頭によって争われ、武豊騎乗で1番人気のダイアトニックが2番手から直線で抜け出して快勝。昨秋のスワンSに続く重賞2勝目を挙げるとともに、2012年に2着だった父ロードカナロアの雪辱を果たした。2馬身差の2着に、逃げた10番人気のダイメイフジ。3着は3番人気のジョーマンデリンだった。 ◇ 人馬ともに父ゆかりの地で、父の日に鮮やかな親孝行だ。快晴の函館で行われたサマースプリントシリーズ開幕戦は、1番人気のダイアトニックが2番手から直線で早めに抜け出し、横綱相撲で押し切った。 「断然の人気だし、結果を出せてほっとしています」 穏やかな海風が流れる検量室前で、テン乗りで手綱を取った武豊騎手から白い歯がこぼれる。初めて背負った58キロの斤量を克服しての勝利に「スタート次第でハナに立ってもいいと思っていたし、実際(スタートが)抜群に速くて楽にいいポジションが取れた。かなり高いスプリント能力を秘めている」とパートナーの走りをたたえた。自身JRA重賞通算340勝目だが、意外にも函館スプリントSは初勝利(前身の札幌スプリントSは1994年ゴールドマウンテンで勝利)。亡き父・邦彦元調教師が誕生した地でのVに「(このレースを)勝っていないことは知らなかったし、レース前にそれを言われなくてよかった。僕にとってもゆかりの地だしね」と笑顔。サマージョッキーズシリーズでも10ポイントでトップと、幸先のいいスタートを切った。 直線の不利に泣いた高松宮記念のうっぷんを晴らす快勝劇に「前走は本当に不本意だったけど、きょうで能力をはっきり証明してくれた。次はキーンランドC(8月30日、札幌、GIII、芝1200メートル)。その後はスプリンターズS(10月4日、中山、GI、芝1200メートル)に挑戦させたい」と安田隆調教師は力強い口調で今後のローテーションを明かした。 父ロードカナロアが2着だった舞台ではずみをつけた孝行息子が、秋を見据えて躍動する。(内海裕介)★21日函館11R「函館スプリントS」の着順&払戻金はこちら■ダイアトニック 父ロードカナロア、母トゥハーモニー、母の父サンデーサイレンス。鹿毛の牡5歳。栗東・安田隆行厩舎所属。北海道浦河町・酒井牧場の生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。戦績16戦7勝。獲得賞金2億5588万2000円。重賞は2019年GIIスワンSに次いで2勝目。函館スプリントSは安田隆行調教師が11年カレンチャン、17年ジューヌエコールに次いで3勝目、武豊騎手は初勝利。馬名は「7音構成の音階。母名より連想」。